ラグビーW杯日本大会で思うこと 追記):だいぶ時間がたちましたが、文末にひとことだけ(2020年4月19日)
去年の5月から書き連ねてきたこの雑文だが、個人的な話や研究室の活動とはほぼ関係のないトピックスも散見し、研究室のHPに掲載するのはいかがなものかと反省することもある。しかも今回のラグビーに関する文章は既に一回書いているが、新宿の都庁に向かう地下通路で「4年に一度じゃない。一生に一度だ。-Once in a Lifetime-」などと書いてあるポスターを目の当りにしたりすると、なんか書こうかなという欲求が芽生えてくる。ちょうど北見の夏季セミナーに出かけていたとき(13日)に、公認キャンプ地である網走市でフィジー代表を歓迎するイベントのニュースが流れた(お隣の北見市も、もともと強豪チームの夏の合宿地として有名であり、先日も常呂川の河川敷に芝生のグラウンドが広がっていたり、一捻りされた市のカントリーサインが道路脇に立っていたりする。下図)。
北見市カントリーサイン
それに加えて、クライストチャーチの悍ましい銃撃事件への対応で世界からそのリーダーシップが称賛されたジャシンダ・アーダーン首相が、世界最強のオールブラックスとともに来日されているようで、否応無しに気分は高揚し、もう一度ラグビーについて書くことになった。農工大ラグビー部の顧問という立場が大義名分となるが・・・。
そんなわけでラグビーW杯日本大会が始まっている。初戦を勝利した我がJAPANだが、前回敗れた列強の一角であるスコットランドに勝利して、決勝トーナメントに進出して欲しいものである。オリンピックの“都市開催”と異なり、W杯は各地(北は札幌から南は大分まで)で試合が行われるばかりでなく、いろんな土地が公認キャンプ地になっていて、それぞれの地方が、さまざまな形で盛り上がることになり個人的には好きなシステムである。ただ一つ残念なことはラグビーの聖地、青山の「秩父宮ラグビー場」でゲームが行われないことである。2015年3月に開催地が決まったとき、東京では「新国立競技場」で開催することになっていたかと思うが、いつのまにか「東京スタジアム」に変更になっていた。地理的にも近い「東京スタジアム」に恨みがあるわけではないが、やはり「秩父宮」、「国立」では開催して欲しかった(秩父宮は施設が古く、収容人数とかナイター施設がW杯基準に達しておらず、オリンピック後のこの周辺の再開発計画と相俟って熊谷、花園等のように改修工事とはならなかった)(注)
いずれにしても「一生に一度のワールドカップ」であるので、各国代表の国の威信をかけた魂の闘いをできるだけ、観戦(テレビだけど・・)していこうとは思っている。先の記事で2015年9月19日のイングランド大会の南アフリカとの死闘が「心に残る忘れられないゲーム」と紹介したが、今回の大会でもそんなゲームをきっと見せてくれることだろう。
読んでくれた人は、JAPANに熱い声援をぜひ御願いします。
(注)オリンピック後に急ピッチで行われるだろう神宮外苑の再開発だが、まず秩父宮ラグビー場、周辺のテニスコート、駐車場、カフェなどの商業施設などが取り壊されて「新神宮球場」と「ホテルなどの商業施設」となり、あわせて伊藤忠商事の本社ビルも高さが倍以上になる。銀杏並木の反対側の緑地も商業施設になるようで、おそらく相当風景が変わる。ラグビー場は神宮第二球場あたりに移設となるだろう。いずれも残念である。NHKのラグビー放送の冒頭でアナウンサーが「東京青山の秩父宮ラグビー場です・・」といつも言っているようなきがするが、移設後の住所は青山とは言えない。
追記):上の文章を書いたとき、アイルランドには負けることが、前提でやや力の落ちるスコットランドに勝利して決勝トーナメントへという願望が書いてある。これは大変失礼なことを書いた。ご存知のように我がJAPANはプール戦を全勝で勝ち抜け、クォーターファイナルで優勝した南アフリカにリベンジされた。スクラムハーフのFrancois
'Faf' de Klerk
さんの攻守にわたる活躍にやられた感があるが、彼らのプライドがわずかなところで、JAPANを上回っていたように感じた。次回のフランス大会でさらに成長したJAPANを見たいものです。いずれにしても、すばらしい日本大会でした。
おまけ(今回は、観戦のみの素人が作成した観戦ガイド的なものを)
1.One for All, All for One
ゲームをしていくときの基本姿勢。『1人は全員のため、全員は1人のため』(後半には、すべては勝利のためにという意味もあるらしいが・・。いろんな個人的な指標で評価される大学教員や野球選手とは違う世界がある。
2.No side
ゲーム終了のこと。身体をぶつけ合った激闘が終れば、お互いのフェアプレーを讃えながら、勝敗に関係なく相手選手をリスペクトするという精神。松任谷由美さんに「ノーサイド」という楽曲があり、2013年、改修前の国立競技場の最後の早明戦で生歌を披露された。
3.レギュレーション
・15名(FW8名、BK7名)(試合開始時の背番号はポジションによって決められるので、わかりやすいと言えばわかりやすいが、同じ選手でもゲームによって背番号が変わることがある)、リザーブ交代選手(8名からなる)。テニスなどと同じで、監督・コーチは基本、グラウンドレベルにはいない(選手とサポート要員のみ)
・前後半40分(ロスタイムはレフェリーが時計を止める)(ハーフタイム10分)
・ボール:ほぼ回転楕円体に近い
・得点:トライ(相手陣インゴールまでボールを運んで、地面につける)5点、コンバージョンキック(トライのあとに与えられるキック。ポストの間でクロスバーの上を通過させる)2点、ペナルティーキック(相手の重い反則で与えられるキック。ポストの間でクロスバーの上を通過させる)3点、ドロップゴール(ワンバウンドしているボールをキックして、ポストの間でクロスバーの上を通過させる)3点
・荒天による中止:通常の雨、雪では中止にならない。
4.ポジションと役割
FW:ボール争奪戦の前線であり、スクラムやラインアウトなどのセットプレー、密集で身体をぶつけ合う。最前列の1-3番はスクラムで相手と組み合う。前5人をタイトファイブ、前列からフロントロー、セカンドロー、バックローと呼んだりする。6,7番は攻守にわたって遊撃的な感じで、高い運動量が要求される。
BK:FWが獲得したボールを使ってパスやキックで攻撃する。相手ボールのときタックルで防御をする。SH(9番)はセットプレーやブレイクダウン(密集)から出たボール、SO(10番)にパス、キック、自ら前へ進む等の役割があり、ボールのある周辺に常にいないといけない(防御時のカバーリングを含めて一番走るポジションです)。ゴールキックなどのキックはBKの選手が蹴る場合が多い(SOとかFBとか)。11-14番はスリークォーターバックス(TB)といったり、11,14,15番をバックスリーと呼んだりする。
5.ルール
これがわかりにくく、ラグビー観戦のネックになることが多い。詳細は書けないので大原則だけ・・・。
①ボールを前に投げてはいけない、前に落としてはいけない(スローフォワード、ノックオン、軽い反則:攻撃側からみて相手ボールのスクラムで再開)、ボールを前に進めるのは、手に持ったプレーヤーが前進するか、キックのみ。
②オフサイドの位置のプレーヤーがプレーに参加してはいけない。→オフサイドのラインは、状況に応じて変わる。通常はボールの位置だが、密集(モール、ラック)の場合は、密集の最後尾のプレーヤーの足の位置(オフサイド、重い反則:相手ボールのペナルティーキック)。駅のホームのエスカレータでよくあるような「横入り」はオフサイドの反則。キックしたプレーヤーより、キック時に前にいるプレーヤーがボールに働きかけるのは、やはりオフサイドの反則(待ち伏せはダメ)。
※モール:両チームの選手が、立ったまま「地面についていない手に持った」ボールを奪い合うために密集状態になること(双方が1名以上で成立)(モールを故意に崩す行為は重い反則)
※ラック:両チームの選手が、密集となり「地面にある」ボールを「足」で奪い合うプレー。ラックが成立した場合、ラックに参加したプレーヤーは手を使えない(使った場合、ハンド:重い反則)
③倒れているプレーヤーはプレーに参加してはいけない→タックル(バインドなしのぶちかましは反則)され、倒れてしまった(膝をついてしまった)プレーヤーは、それ以上プレーできないので、攻撃側のプレーヤーは、ボールを離さないといけない(離さないとノットリリースザボール:重い反則)。タックルして倒れた防御側のプレーヤーは、次のプレーを妨害してはいけない(妨害した場合、ノットロールアウェイ:重い反則)。攻撃側のプレーヤーはタックルされたとき、ボールを味方側に置かない(離さない)とボールを奪われる確率が高くなる。
④ボールを持っていない相手プレーヤーの動きを妨害してはいけない→オブストラクション:重い反則
⑤その他
・ペナルティーキックをタッチラインに蹴りだした場合、マイボールのラインアウトで再開(通常は相手ボールになる)
・タックルをしようとする防御側のプレーヤーに対してボールを持ってない手で突き放す行為は合法(ハンドオフ)
・個人的にはターンオーバー(防御側がボールの奪い合い(ブレイクダウン)でボール獲得したとき)からの、切り返しの攻撃が決まったのを観るのが好きです(全員の意思が、一瞬のアイコンタクトで統一される感)
(2019.9.23))