日本の地名を冠したもの（讃岐うどん、長崎カステラ、戸隠そば、長浜ラーメン・・）に関しては、いずれも由緒正しいものが多く、怪しい場合はすぐに糾弾されることになるので、商売ということを鑑みてもリスクを冒すことはないのだろう（食べ物には限りませんが）。
カタカナ系で怪しいものとしては、ナポリタン、アメリカンドッグ、アメリカンコーヒー、ウィンナーコーヒー、天津飯、フレンチトースト、トルコライス・・・。大学のとき、本郷三丁目の中華料理屋さんで、よく「香港ラーメン」を食したが、あの店以外でも、香港でも「香港ラーメン」は食べたことはないのできっとオリジナルな料理だったのだろう（醤油系ラーメンの上に、キャベツ等の野菜の炒めたものと目玉焼きが乗っていた・・）。
こんなことを書くと叱られるかもしれないが、コーネル大学留学時にお世話になったOber先生から伺った話によると、日本での定宿としていた御茶ノ水のホテルの廊下とかに置いてあった自販機の「Georgiaコーヒー」が大好きで、かつ名前が面白くて仕方なかったそうである。アメリカ人にはGeorgia（アトランタがあるジョージア州）とコーヒーがどうしても結びつかないらしく、そのミスマッチが壺だったらしい。名前の由来は某巨大飲料メーカーの本拠地がアトランタにあることらしく、日本人からするとそれほど変ではないが、そのコーヒーはアメリカでは売っていないので・・・。
さて定番のサイエンス関連への展開だが、人名を冠した有機反応は多数あるし（Jie Jack Li先生のName Reactions: A Collection of Detailed Mechanisms and Synthetic Applications 5th Editionには古典から現在風まで320個以上が紹介されている）、実験器具もそこそこあるような気がする。実験室にあるものをザッとみても、デュワー瓶(Dewar flask)、パスツールピペット(Pasteur pipette)、リービッヒ冷却管(Liebig condenser)、エルレンマーヤーフラスコ(Erlenmeyer flask)、ソックスレー抽出器(Soxhlet extractor)等・・・。地名を冠した反応はどうしても思いつかず、器具といえば、あの有名な「駒込ピペット」(Komagome pipette)しかないのかもしれない。やはり日本語系なので由緒正しいものである。駒込ピペットを考案した二木謙三先生は，都立駒込病院の第5代院長で、病原菌の研究に関してたくさんの業績を残し，ノーベル生理学・医学賞の候補になった研究者である。大変に謙虚な人で，新型病原菌を発見しても，患者の名前や駒込病院（駒込Ａ菌･Ｂ菌）の名前をつけ，自分の名前を使うことはまったく考えていなかったとのことで、『二木ピペット』とはならなかった・・・。といういろんな事情もさることながら、地名を冠した実験器具ということで、たいへん希少な例となっている。
この駒込ピペットだが、私たちの研究室のように、材料合成をやる場合には、いろんな場面で有用な器具です（ザクッとした計量とか、変化球ですが、コットンを詰めてカラムクロマトの管に使ったりとか・・）。今は知らないが、昔はアメリカのラボでは入手できず、留学していた時、ときどき不便を感じました・・・。
おまけ
問1 下図のように長方形をACで折り、さらにBCに折ったところ∠BDEが84°になった。xは何度か？
問2 下図のような本棚に古い日本文学全集がならんでいる。第一巻の最初のページに巣くっていた本の虫が、第二巻の最後のページまで食い進んだとしたら、この虫はどれだけの距離を動いたことになるか？表紙の厚みは第一巻、二巻ともに2 mm、本の中身の部分はそれぞれ3 cmとする。
解答例
問１
図のように角に番号をつける。
次に下図のように1回折った状態を考える。
角①＝角②となるので、角①＝角③となる。上の絵から角①=角③=42°となる。また、角④は42＋(x+42）=x+84 （折り返す前を考える）。したがって(x+42）+(x+84)=2x+126=180 ∴x=27°（答え）
問２ 4 mm （日本文学全集なので、最初のページは、問題文の図でいうと左端になります）
(2019.7.21)