物価(授業料)について
もう5年余り前の話になるが、50年前の物価を比較しようという記事をネットで閲覧した(ちなみに総務省統計局のこのページにその記事の元になっているエクセルファイルが掲載されている)。ちょうど自分が生まれた時代と今とを比較しているため興味深く読んだ。ただ、昭和40年の大学卒の初任給が2万円という時代で、消費者物価指数は1962年を1とすると2012年で4.7倍ぐらいなので、上がったもののトップクラスに挙げられている郵便のはがき(10倍ぐらい)、カレーライス(外食)(9.2倍)といっても額自体が小さいことも相まってそれほど驚くほどの数字ではない。ちなみに私も時々文句を言っている煙草の値段も、ハイライトで比較すると1962年は70-80円、2013年は410円(今は420円)なので5-6倍といった感じで実はたいしたことはない。学生時代から社会に出たばかりのころお世話になった銭湯(東京)だが、1962年のデータをみると30円ぐらい(洗髪を含めて)で2012年が400円(2018年だと460円)とのことなので10倍以上に上がったことになる(自分が大学に入った昭和57年は230円という時代でした)。よく引き合いに出されるバナナだが、価格的には1倍を切っており、卵、もやしと並んで物価の優等生である。
きちんとしたデータがあるわけではないが、子育てをしてきた感覚として、各種の「図鑑」や「学習参考書」などの本と比較して、ランドセル、レジャー系の施設の利用料は随分と高くなったと思う(こうしたサービスを提供する側が、子供の財布ではなく親(または祖父母)の財布を期待していると推察される)。
いろいろと鑑みてみると国立大学の授業料の上がりっぷりは尋常でない。1962年は9000円で、1963年は12000円で、2012年には535800円で実に60倍もの値上げになっている(下図参照)。ちなみに私は216,000円の時代に大学に通っており、このときと比較しても現在は倍以上となっていることがわかる。それに伴って私学との格差も大きく縮まったといわれている(私学は学部等で異なるが押し並べると1.6倍。昭和50年には5.1倍)。大学の授業料とは4年とかしか払わないわけで、その後上がったとしても、既に払い終わっている人にとっては無関係となり無関心となる。そればかりではないと思うが、そのあたりの心理につけ込み随分と金額が上がったと推察される(ずっと払い続けるカレーライスとは実感が違う)。
1950年代から始まる60年代の長期安定期から1970年代初めに始まり、後半以降から本格化して2000年代初頭まで続いた2年毎に実行された値上げの時期への変遷の背景には何があったのだろうか。1971年に「第3の教育改革」を目ざして発表された中央教育審議会の答申『今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について』においては、
・私立の高等教育機関に一定の経常費を助成金として交付すること
・授業料などの受益者負担額が設置者や専攻分野の違いによって極端な差異が生じないように
ということが記されている。つまり、私学と国立の格差を解消すべきということだが、私学には経常費を助成(1975年に法制化)し、国立大学の授業料引き上げで対応しようという姿勢がうかがえる。
極言すれば、若い人に投資しない、教育にお金をかけない我が国に政治の実態をよく表す例となっているが、考え方として受益者負担ということで大きな議論はされてこなかった【昨年度に報道されたが、OECD(経済協力開発機構)が公表した「図表で見る教育2017 (Education at a Glance 2017)」によると小学校から大学までの教育機関への各国の公的支出(対GDP比)(2014年データ)は、OECD34カ国中で最低で、大学などの高等教育への公的支出をみてもブービー賞でなかなかお寒い感じである】。
上記のように2000年代は金額の上昇は鈍化し、近年はほぼフラットになっているが、今後どうなるのだろう。
【ちなみにNMRのところで少し触れたヘリウムですが、米国産ヘリウムの輸入価格でみると2000年に1500円/kgだったものが2014年には6000円/kgとなっています(財務省貿易統計)。ヘリウムについては熱力学などのサイエンスを含めて、また後日に(いつになるのかわかりませんが)・・・】
おまけ
問 今日(2018年8月27日)は月曜日です。1993年4月24日は何曜日でしょうか?
解答
2018年の元旦は、今日から26(8月)+31(7月)+30(6月)+31日(5月)+30(4月)+31(3月)+28(2月)+31(1月)=238日前 これは7で割り切れるので今日と同じ月曜日。
2017年の元旦は238+365=603日前で7で割ると1余るので日曜日。
2016年(閏年)の元旦は603+366=969日前で7で割ると3余るので金曜日
2015年〜1993年まで平年が18年で閏年が5年 365 x 23+5=8400
したがって1993年の元旦は969+8400=9369日前で7で割ると3余るので金曜日。
4月24日は元旦から30(1月)+28(2月)+31(3月)+24(4月)=113日目で7で割ると1余るので土曜日となる(答え)(ネットで簡単にわかりますが・・)
単純な計算ですが、2000年が閏年というのは大変珍しいことでした。グレゴリオ暦の閏年は次のように決まっています。
1.西暦年が4で割り切れる年は閏年
2.ただし、西暦年が100で割り切れる年は平年
3.ただし、西暦年が400で割り切れる年は閏年
すごい昔になりますが、学生実験に「計算機実験」というのがあり、学生の皆さんにFORTRANでプログラムを書いてもらっていて、その中の一つに万年カレンダーの作成がありました。基本、今日から何日目を求めればよいのですが、上の条件をif〜thenとかelseとか使って・・・、学生さんと一緒に勉強していました・・・。
(2018.8.27)