雑文リスト   荻野研トップ

御茶ノ水について 

 JR御茶ノ水は、学生時代から今に至るまでよく利用する駅であるが、だいたいがお茶の水橋側改札から、スクランブル交差点をわたって神田駿河台方面の日本化学会にでかけるか、坂を下って神田神保町方面の本屋を冷かしにいくというパターンである。地名の表記は「お茶の水」だったり、「御茶の水」だったりするが、駅名関係の表記は「御茶ノ水」のようである(ちなみにJRや丸の内線の駅は「四ツ谷」であって、丸の内線の隣駅は「四谷三丁目」で地名関係も「四谷」である。さらに駅の看板などになると「四ッ谷」と「ツ」が小さくなることも多くなり、まともに規則に従って読もうとすると、とても読みにくくなる。中央線関連だと「市ヶ谷」「阿佐ヶ谷」に対応する地名は「市谷」「阿佐谷」である)。

 さて御茶ノ水駅の話に戻すと交差点を渡ると交番があって、昔はよくこんな話を聞いた。地方から上京したと思われるお母さんと娘さんがやってきて、

「お茶の水女子大へはどういったらいいでしょうか?」

という質問が随分あったという(さすがに受験に来たというより、夏休みなどを利用して大学の見学にきたというイメージだと思う)。国立大学でも広報に力をいれるようになり、ネット社会の現在では、まずこういう人畜無害で心温まるエピソードは存在しなくなってきているのだろう。

 神保町方面へは、改札を出てそのまま坂を下ればいいのだが、ちょっと遠回りをして日本化学会のある化学会館のちょっと西寄りの道を左折して、錦華坂を下ることもある。かの夏目漱石先生の通っていた千代田区立お茶の水小学校の横を下る坂だ。

 神保町の三省堂(本店)は、学生の頃から足繁く通ってきた本屋さんである。昭和62年に自費出版された「物理数学の直観的方法」(長沼伸一郎著)(今ではBLUE BACKS版が入手できるようです)が平積みになっていて、なかなか面白いねと思って購入してみると、その後、この本屋さんでは例の「ノルウェーの森」を売り上げで抜いたという報道を耳にした。仕入れ担当者の目利きの正しさを証明しているエピソードである。先日訪れたときも、怪しげな専門書が堂々と平積みされているのを見て、安心している。

 学生時代は、わかりもしないくせに小難しい専門書を求めて、この町を徘徊したものだ。本を買えば、一時は満たされるのかもしれないが、アパートに帰るころには、再び襲ってくる焦燥感・・・。さすがに今では、そんな差し迫った気持ちはないが、ときどき訪れては、「この本読まないよな」と思いつつも本を購入して満足して帰ってくる・・・。
 
 2011年3月終わり、東京全体が夜間の照明を落としていた頃、2010年の夏に行われてイベントの反省会が竹橋の如水会館で粛々と開催された。自粛ムードのなか、実施が危ぶまれたが主催者の判断で開催ということになった(農工大でも卒業式とか入学式が中止になった年です。会議室でケータリング呼んで、研究室で卒業パーティをやりました・・・)。自分も含めて10名ぐらいでそのイベントに関わっていて、それは、「あのイベントで髪がだいぶ白くなった」とヘッドに言わせるほど、厳しいものだった(2年前からの準備も含めて)。そんな苦楽を共にした仲間だったが1次会のあと、共立女子大の反対側の学士会館周辺にでて5,6名でワインを飲み、その後、ヘッドと自分の二人して神保町で飲んだ。おそらくヘッドは帰りたくても自分から帰ろうと言えないタイプの人で、自分は帰りたくても誘われると断れない人間ということで、わかりやすい話である。薄暗い街並みの中、地下鉄の入口近く「さぼうる」とか「キッチン南海」とかの界隈の店で、日付が変わるころまで飲んだ。
 そのときこんな議論をした。「人間の成長は恐ろしく早い時期に終わるのではないだろうか」ということである。もちろんスキルとか、知識とかは、年齢とともに向上ということもあるだろうが、もう少し根本的な人間力、行動様式のような部分に関しての話である。男の場合、20歳ぐらいで成長は止まり、それから同じような行動を続けているような気がしていた自分も大いに賛同して、話が少し盛り上がった。20歳ぐらいのころ、立派な40歳ぐらいの先輩とお話させていただく機会があったりすると、なんの根拠もなく「そうか40歳になるとこんなに立派になれるか」と高を括っていたが、40歳になっても50歳になってもなかなか立派になれない自分に気がつき、どうもおかしいなと感じはじめていたところだったので・・・。逆にいうと高等学校時代、大学に入ってからのほんの数年間が、人格形成に対して大変重要であることの証左であろう。知力も体力もいくらでも伸びる感じは確かにありますよね。若者たちは。
 ヘッドに比べると自分の苦労など大したことはなかったのだが、あのころから「白髪」が増えたのも、確かなような気がしています。もう随分と長い時間が過ぎてしまったが、「御茶ノ水」に行くと、2010年夏のイベント、そして神保町で飲んだことを想い出す。


御茶ノ水、神保町関連の画像をいくつか・・・・(2018年9月30日追加)

 お茶の水橋から聖橋をのぞむ(2014年3月3日、所用で東大に行った帰り)


 明治大学キャンパス(2012年12月20日、化学会に行く前)


 喫茶店「さぼうる」(2015年6月22日、このイチゴジュースが有名です)






おまけでジャンケンの問題(鶴亀算?)を・・・

太郎さんと桃子さんは山登りの途中の階段を登っています。恐ろしく長い階段の中ほど、P点を出発点として2人でジャンケンをしてあるルールに則って階段を登っていくことにしました。
1)勝ったら2段上がり、負けると1段下がる。
2)あいこのときは、両方とも1段上がる。
30回ジャンケンしたとき、太郎さんはP点から24段高いところにいて、桃子さんは太郎さんのいるところから6段低いところにいました。「あいこ」の数と太郎さんの勝ちの数を求めなさい。













答えは下記のとおり・・・。

まず、「あいこ」の数を求める。2人の合計は24+18=42段なので、下の図が書ける(鶴亀算)。実線部分の合計が42段ということ。
(あいこのとき合計で2段上がることになり、勝ち負けがつくとき差し引きで1段上がることになる)


60-42=18なので勝ち負けがついたのが18/1=18回、あいこが12回となる。次に18回の内訳だが、下記の図で表される
太郎さんは全部で24段登っているので、あいこの12回を除くと18回で12段登っていることになる。


負けを表す長方形の3つの面積の合計が(36-12)=24なので、一つだと8となるときに題意を満たす。
(勝ち負けで3段差がつくことを示している)

以上のことから太郎さんの勝ち10回(太郎さんの負け8回)、引き分け12回(答え)

(2018.7.22)