農工大の樹  その67

  
  
カナメモチ
(バラ科カナメモチ属の種、学名;Photinia glabra Maxim.別名;アカメモチ)

 この種は樹高5−8m、胸高直径30cmにもなる常緑広葉高木で、伊豆半島と福井県以西の本州、四国、九州に分布します。また、中国に分布することが知られています。瀬戸内地方や四国の乾燥する日当たりのよい斜面から尾根によく見かけます。この種の葉は堅く光沢があり、縁に細かい鋸歯があります。白色の5弁の花びらを持つ花は5月頃に円錐花序に密集して咲きます。また、この種は新芽が赤いのが特徴で、そのためにカナメモチという名はアカメモチが転化したとも言われます。しかし、この種は材が堅いため、扇の要として使われたことからカナメモチになったという説もあります。それよりも不思議なことはバラ科なのにモチノキの名前が付いていることです。きっと、それは葉の形、樹皮の色などがモチノキに似ていることによるのでしょう。乾燥に強く、剪定や刈り込みに強いこと、若葉や花が美しいことなどから関西以西の地域ではよく庭園樹に使われます。日本には同じ属の種として、沖縄県西表島に自生するオオカナメモチがあります。その種とカナメモチとの雑種は春先に赤い葉が美しいベニカナメモチ(あるいはレッドロビン)と呼ばれる品種です。
 
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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