農工大の樹 その65 |
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トベラ | ||
(トベラ科、トベラ属の種、学名: Pittosporum tobira (Thunb.) Ait.) |
この種は高さ3-5m、胸高直径10-20cmになる雄雌異株の常緑広葉低木です。この種は岩手県以南、新潟県以西の日本と、韓国南部、台湾、済州島、中国南部の沿海地域で、海岸地域を中心に広く分布しています。日本にはこの1種だけが分布しますが、世界には約250種があり、そのほとんどがニュージーランド、ニューカレドニアなどの南半球に分布しています。この写真に見るように、葉は枝にまとまって付く傾向があり、厚く革質で光沢があります。また、葉先は広くて丸く、基部は狭く、葉縁は少し裏側に反るのも特徴です。花は最初は白色ですが、次第にクリーム色へ変化します。丸い果実は熟すると3裂し、中から粘る赤い種子がぶら下がります。学名の内、属名のPittosporumは「樹脂をもつ種子」の意味で、種小名のtobiraは日本名のトベラを採用したものです。漢名は海桐と書きます。また、和名のトベラは扉木の転化したものと言われています。これは、節分などに魔よけとして、この枝を扉に挟む行事があったことに由来し、枝や葉が放つ独特の臭気が鬼よけに効果があるとされたことによるようです。材の利用はほとんどありませんが、潮風に強いことから、海岸地域での防風、防潮のための植樹として、あるいは、樹形が整って美しいことから庭木としても利用されています。 |
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司 |