農工大の樹  その55

    
  
ドウダンツツジ
(ツツジ科ドウダンツツジ属の種、学名:Enkianthus perulatus C.K.Schn. 和名の漢字:灯台躑躅、満天星)

 この種は落葉性の低木で、良く分枝して美しい樹形を作ります。春には写真のように白い花を咲かせ、真っ赤になる秋の紅葉も美しいため、関東地方では好んで生け垣に用いられています。この種を示す漢字は2種類あります。「灯台躑躅」と書くのは、枝分かれの仕方が宮中で夜間行事の時に用いられた「結び灯台」の脚に似ていたことから、「とうだい」が「どうだん」に転化したもの。また、「満天星」と書くのは、白い花が葉が出る前に咲き、その咲く様子が満天の星を散らしたように美しいので、それにあてたものと言われています。学名の属名Enkianthusはギリシャ語のenkyos(孕んだ)、anthos(花)にちなんでおり、それは花の形から来ています。この属の種は東アジアに分布し、ヒマラヤ、中国、日本に10種があります。そのうち、日本には4種があり、それらは皆、似た花の形をしています。この種の自然分布は静岡県から和歌山県と四国で、それらの地域には、同じ仲間のベニドウダン、サラサドウダン、カイナンサラサドウダンなど赤から薄赤の花を咲かせる種も分布しています。
    
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司
                                                     

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