農工大の樹  その132

アキニレ
ニレ科ニレ属の種、学名:Ulmus parvifolia Jacq. 別名:イシゲヤキ、カワラゲヤキ

 この種は本州中部以西、四国、九州、台湾、韓半島、中国中部〜南部に広く分布する落葉広葉高木で、樹高15m、直径70cmにもなります。この木の樹皮は灰褐色でまだらがあり、鱗片状に剥けて斑紋状になるのが特徴です。また、この種の特徴は葉にもあり、長さが2〜6cm、幅が1〜2cmで大変小さく、かわいい形です。このことは学名にも表現されており、種小名のparvifloraは「小型の葉」という意味です。属名のUlmusと一緒にして、この種は「葉の小さなニレ」という意味の学名になっています。また、和名の別名であるイシゲヤキは葉の形や樹形が「ケヤキに似ているが材が硬い」こと、カワラゲヤキはこの種が生えることが多い「河原に生えるケヤキ」という意味からきたものです。この種はまとまって生育しないことから、材としての利用はありませんが、硬い材であることから盆や椀などの器具材として利用されました。また、樹形と葉の愛らしさから、生け垣や公園の樹木としてもよく植栽されます。

農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司

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