農工大の樹  その123

ウラジロモミ
 (マツ科モミ属の種、学名:Abies homolepis Sieb. et Zucc. 別名:ダケモミ、ニッコウモミ

 この種は日本特産の針葉樹で、樹高30m、胸高直径80cmにもなる常緑高木です。この種の分布は太平洋側に偏り、本州の福島県(吾妻山)以西から、四国、九州までに分布しています。関東での垂直的分布域は海抜800から1800mにあります。その高度ではブナが優占する地域ですが、ブナと混交林を作ることも多いようです。また、下方ではモミに交代します。モミとこの種の違いは、この種が若枝に毛があり、葉の裏が白色、円柱状の球果は紫色です。これに対して、モミは葉の裏が緑色で、若い木では葉の先が鋭く尖り、球果は黄緑色であることなどで容易に区別できます。和名のウラジロモミはこの種がモミに似ているが葉の裏が白いことから名付けられたものです。また、別名のダケモミは高い山に生育するモミ、ニッコウモミは日光地域に多く生育するモミであることから呼ばれるようになったものです。この種は材が柔らかいので板などの建築材として利用されます。また、樹形がよいのでクリスマスツリーとして利用されることも多いようです。

農学研究院自然環境保全学部門 教授 福嶋 司

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