農工大の樹  その108

   
ザクロ
(ザクロ科ザクロ属の種、学名:Punica granatum L. 漢字:石榴)
 この種は高さ6mにもなる常緑低木で、冬寒く、夏暑い半乾燥気候の地域であるイラン、アフガニスタン、パキスタンなどの中近東地域に野生で生育しています。イランのカスピ海沿岸ゴルガンの砂丘上にはこの種の大群落が広がっています。
 針のある枝に長楕円形の葉をたくさんつけ、6月頃にはその間から革質の濃いオレンジから深紅色の花をつけます。秋には直径6cm前後の丸い果実になり、その中の種子は淡紅色で透明な外果皮に包まれます。この外果皮は多汁質でグレナディンと呼ばれる成分からなり甘酸っぱく、生で食べることができますし、清涼飲料水にもします。また、その味は、幼い頃「人肉の味」とも聞いたことがありますが、人肉を食べたことがないので真偽の程はわかりません。
 スペインの都市「グラナダ」という地名はこのザクロにちなんで名付けられたそうです。
 日本への渡来は平安時代といわれています。日本では多くの場合、観賞用に栽培されていますが、古来より枝、幹、根から抽出される成分でサナダムシの「虫下し」として利用されました。また、果皮はタンニンを含むため、革をなめすのに使われました。
環境資源共生科学部門 教授 福嶋 司

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