農工大の樹 その23 |
キョウチクトウ
(キョウチクトウ科キョウチクトウ属の種,学名:Nerium indicum
Miller,漢字:夾竹桃)
この種は高さ3〜5mで幹が密に茂る低木で,日光と水分を大変好みます。この仲間は世界におよそ150属1100種があり,そのほとんどが熱帯や亜熱帯地域に分布しています。日本に生育するキョウチクトウ(夾竹桃)のほとんどはインド原産の植物で,中国へ明代に入り,そこを経て日本には江戸時代中期に渡来したと言われています。また,その名前は葉が竹の葉のように細長く,花が桃に似ていることから付けられたようです。花は長い筒状で,赤,白,ピンクなどの色があり,細長い葉は厚く革のようで,3枚が同じ場所(3輪生)についています。うだるような熱気の夏の日,埃にまみれた街中でもこの種が元気に花を咲かせているのをよく見かけます。8月の広島市でもよく見られますが,原爆投下後,いち早く再生し,花を咲かせた木としても有名です。それほど強靭な木なのでしょう。
(農学部教授 福嶋 司)