農工大の樹 その18
サルスベリ

tree18.jpg (32484 バイト)


サルスベリ
(ミソハギ科サルスベリ属の種,学名:Lagerstroemia indica L. 漢字:百日紅,和名の漢字:猿滑り)

 この木は,樹木の花の少ない夏の時期に,枝先に紅色の円錐上の花をたわわにつけます。和名の“サルスベリ”は,幹が平滑なため,いかに木登り上手な猿でも滑るであろうことから名付けられたものですし,中国の百日紅は紅色の花が長い間咲いていることに由来します。この種は日本産ではなく,中国から徳川時代の元禄期に入ったと伝えられています。この仲間は東南アジアの熱帯地方に多く,約30種が分布しています。日本に野生するこの仲間は,白い花を咲かせるシマサルスベリ(タイワンサルスベリ)で,屋久島,種子島,沖縄など南部に分布します。サルスベリの幹の色は淡褐色で,剥げた跡が白く残り,枝は4稜をもち,葉の先が丸いのですが,シマサルスベリは花が白で,剥げた跡が灰色,枝に稜がなく,葉の先が尖っていることなどから区別できます。利用としては庭園樹や街路樹が主ですが,材が硬く耐朽力があるため,建築材,皮付き柱などに使われています。また,古くは葉と花を薬用,葉を染料として利用しました。中国では花を食するそうです。

(農学部教授 福嶋 司)


一覧へ戻る