農工大の樹 その6
ヒマラヤスギ

tree06.jpg (24514 バイト)


ヒマラヤスギ
(マツ科ヒマラヤスギ属の種,学名:Cedrus deodara G.Don ex Loudon)

 この木は樹高50m以上,直径3mにも達する常緑針葉樹です。和名は「ヒマラヤ地方に産する杉」の意味ですが,英語でも同様にHimalayan Cedarとよびます。名前のように,原産地はヒマラヤ北西部からアフガニスタン東部にあり,日本には明治12年に渡来しました。学名のCedrusは「香りのよい木」,deodara は「神ノ木」の意味で,エジプトではこの材で棺を造り,これから採ったシーダー油をミイラ保存に使ったといわれます。また,ユダヤでは男性が生まれるとこの木を家の前に植える習慣があるそうです。雨の少なく樹木が少ない原産地では貴重な建築材,家具材として利用されていますが,日本では材が水分を多く含むため利用されていません。これには雨の多い日本の気
候が関係しているのかも知れません。この木は枝が水平に広がり,やや下垂して常緑の円錐形の樹冠をつくります。この特徴的な樹形が好まれて各地の庭や公園に植えられていますので,馴染み深い木でもあります。この写真は農学部本館の東の角に成育する個体で「府中の名木百選」にも選ばれたものです。枝をよく見ると,針状の葉が互生した長枝と針葉が短い枝に束状に集まった短枝の二種類があることが分かります。この点はカラマツにも似ていますね。一度,観察してみてはいかがですか?

(農学部教授 福嶋 司)


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