有機分子の光反応

有機分子の光化学は、機能性高分子材料や環境化学の分野で注目されています。中田研究室ではマトリックス単離法と量子化学計算を用いて、単分子の光反応(光分解、光異性化など)の研究も行っています。個々の反応メカニズムを解明していくことで、新しい反応法則の発見が期待できます。

環境化学の観点から、化学物質の反応メカニズムを研究しています。ここでは例としてダイオキシンを生成すると考えられているクロロフェノール類の光反応を紹介します。紫外線によって塩化水素が脱離したあと、転移反応がすばやく進行して五員環構造を形成します。そのため、実際には2分子が縮合してダイオキシンが生成されるということは触媒でもないかぎり起こらないようです。


これが測定された生成物スペクトルと五員環化合物
の計算スペクトルです。(2,4-ジクロロフェノールの光反応)

この結果について詳しくはJ. Photochem. Photobiol. A, 146 (2001) 49に発表されています。また、ペンタクロロフェノールやブロモフェノールの光反応などを現在研究しています。

(赤井)