Town トレイン

第5号 平成4年9月発行 


成田エクスプレス(JR東日本253系)   撮影者 宮本

 昨年のダイヤ改正時に、都心から離れていた新東京国際空港(成田空港)に、ターミナル駅ができ、成田空港アクセスへの大きな役割をはたすことになった。そして、このターミナル駅への特急乗り入れ用に投入されたのがこの車輌で、始発駅を東京、新宿、池袋、横浜とし、それぞれの駅から53分、74分、87分、84分で空港に到着し、海外旅行客や帰国客を主に乗せ、毎日23往復運行されている。
 未来のジェット機をデザインしたロゴマークをつけて快走する“N’EX”は、多くの旅行客の人気の的である。

特集 富山駅

 今号から、「あることについて詳しく考える」ということをしようということで、特集を組むことになりました。初回ということで、何について調べるか迷ったのですが、一般の人々にもなじみの深い「富山駅」を調べることになりました。一部、専門的なところもありますが、鉄道についての知識を深める、ということでご了承ください。

 車輌 富山駅に来る車輌一覧

  583系   夜は寝台車、昼は座席車として使用される特急型電車
         急行「きたぐに」、臨時特急「雷鳥」
  485系   特急型電車
         特急「雷鳥」「スーパー雷鳥」「かがやき」「北越」「しらさぎ」
        「白鳥」「マリン雷鳥」「ホームズ雷鳥」、急行「アルペン」
  489系   碓氷峠でのEF63との協調運転用に作られた特急型電車
         特急「白山」「北越」「しらさぎ」
  475系   2ドアの急行型電車だが、快速、普通列車に使用
  455系   2ドアの急行型電車だが、快速、普通列車に使用
  413系   両開戸2ドアの近郊型普通列車電車
  419系   583系改造の普通列車電車
  EF81   北陸本線の客車、貨物列車牽引用電気機関車
  DE10   高山本線の貨物列車牽引用ディーゼル機関車
  キハ85   特急用のハイパワー気動車  特急「ひだ」
  キハ45   両開戸2ドアの一般用気動車
  キハ28   急行用気動車だが、普通列車に使用
  キハ58   キハ28の車体に2つのエンジンが付いた急行用気動車だが、普通列車に使用
  キハ23   一般用気動車で1両で走る
  キハ53   一般用気動車で1両で走る
  24系25形 特急型寝台客車  寝台特急「日本海」
  14系15形 特急型寝台客車  寝台特急「北陸」、急行「能登」
  14系座席車 急行、団体用客車 急行「能登」

担当 石瀬


 見取図

                      ョ「ホ「「ホ「イ
                      、そ、北、 、
                      、ば、口、 、
                      カ「ヨミ「゚「コ
                         、 、   旧6番ホーム
                         、 、ョ「「「「「「「「「「イ
                         、 、、 現在は存在しない 、
                         、 、カ「「「「「「「「「「コ
ョ「「イ            7番ホーム    、 、
、  、 ョ「「「「「「「「「「「「「「「「「「イ、 、
、建物、 、                  、  、
、  、 カ「「「「「「「「「「「「「「「「「「コ、 、
カ「「コ            6番ホーム    、 、
                         、 、
                5番ホーム    、 、
ョ「「「「「「「ホ「ホ「「「「「「「「「「「「「「ヨ「ヨ「「「「「「「「「「「イ
、       、 、    ― □ □            □ □    、
カ「「「「「「「ニ セ「「「「「「「「「「「「「「ホ「ホ「「「「「「「「「「「コ
        、 、     4番ホーム    、 、
        、 、     3番ホーム    、 、
西ホームョ「「「ニ セ「「「「「「「「「「「「「「ヨ「ヨ「「「「「「「「「「「イ
ョ「「「コ   、 、    ― □ □            □ □    、
カ「「「「「「「ニ セ「「「「「「「「「「「「「「ホ「ホ「「「「「「「「「「「コ
        、 、     2番ホーム    、 、
        、 、              、 、
        、 、     1番ホーム    、 、
ョ「「「「「「「ニ セ「「「「「「「「「「「「「「ヨ「ヨ「「「「「「「「「「「ホ
、       、@、  □ □            □          セ
カ荷物通路「ミ」瘋」瘋」ム」」」ム「ム」ム「ム」ム」オ、便所、ョ「「「イ池ー「コ
      、駅、便、 、ミドリノ 、 、A、B、C、Bテル」」瘋瘋ムムム瘋」ス
      、長、所、 、TiS A、 、 、ョ゙「ニ 、待合室セコカコカニ
      、室、@、 カ「「「コ ョ「イカヨ「コ カ「「「ニ   Dカ「「「「
      、 セ「イ ョ「「「イ カ「コ「「       、
      カ「ヨ「ヨ「ヨ「「「ヨ「「「「「「「「「「「「「ヨ「「「「「「「「「
      、
      、 ョ「「「「「「「「「「「「イ    、 、
      、 、駐車場  タクシー乗り場、    、 、 ョ「「「「「「「「「
      、 、            、    カ「コ 、バスターミナル

 @有料トイレ(100円)がある     C精算所・鉄道案内所
 A最近、改装された           Dレンタサイクルも扱っている
 Bいろいろな催しがされる                    

  ステーションデパート2階ョ「「ホホ「「「「「イ
              、便所、  待合室 、
        、@、   カ「イ 、Aセ「「「コ
      ョ「煕「ラ「ホ「「「ニ セ「ヨ「ホ「ホ「「「「「イ
      、 セ「「 、   、 、   、B、     、
      、 、   カ「「       、 セ「「「イ本、
      、 、  商 店       ョ「「「「「「ニ屋、
      、 、       ョ「イ「「、 文房具屋 、 、
      カ「ヨ「「「「「「「ヨ「ヨ「「ヨ「「「「「「ヨ「コ
 (ステーションデパート3階は、飲食店などがあるが省略する)
担当 小西

富山地方鉄道情報 −第5回−

 今回は、JR北陸線との並走区間について触れてみる。

 富山地方鉄道本線には、北陸本線との並走区間、または、交差地点が3つほどある。その区間、または、地点とは次の3つである。

 電鉄富山−稲荷町 間   中滑川−魚津 間   JR黒部駅東立体交差橋

 上記の区間のうち、筆者の住居に近い 中滑川−魚津 間 では、鉄ちゃん(鉄道ファン)にとってはうれしいことが起こる。それは、4月から10月にかけて走る「スーパー雷鳥・宇奈月」が地鉄の線路を走って、JRの普通列車と並走しているところが見られることだ。また、JR滑川駅の横の地鉄の線路を通って通過していくところも、なかなか奇妙である。

 では例の如く、地鉄を知り尽くしたい人はフリー乗車券で全線走破をめざそう。

 地鉄2日間フリー乗車券・・・4,000円

担当 旦尾

鉄道旅行記 −スーパー雷鳥 編−

 スーパー雷鳥6号は、富山から来る3両と和倉温泉から来る7両とが、金沢で連結される。しかし、富山から来るのはいつも混雑し、和倉温泉から来るのは空々である。では、なぜ3:7にしたのか。本当のことは知らない。が、利点もある。今まで、金沢ではおよそ難しかった「座りたいところに座る」ことが、これによって可能になったことである。
 14時44分、金沢に富山から来た3両が到着する。しかし、僕が乗るのは、和倉温泉から来る車輌にしかついていない自由席の禁煙車なので、さらに待つ。
 14時50分、和倉温泉から来た7両が到着して、戸が開く。そして、席に座る。「4号車8AB席」で、このままいくと琵琶湖が見える側である。

 金沢を出て、松任付近を通過しているときに、もう検札があった。蓮町から篠山口までの乗車券と、金沢から大阪までの自由席特急券を見せると、それらにはんこのようなものを押していった。いつもと変わりない。けれど、検札の後に言われる「ありがとうございます。」は、いつ聞いても良い気分になる。
 それが終わると、早速、ウォークマンの電源を付ける。僕は、ウォークマンを使用しているのを見るとむかつくが、自分が聞くのは好きである。

 「まもなく福井に着く」というような表示が車内に出る。
 2分間の停車である。後で分かったことだが、スーパー雷鳥以外は福井で1分間しか停車しない。混雑することを見込んでのことだろう。僕の隣にも人が座った。でも、そんなに乗ってこなかったように見えた。

 スーパー雷鳥は、北陸トンネルと湖西線では130キロを出す。が、北陸トンネルは黒いだけだし、湖西線は規模が大きいので、スピード感を感じなかった。ただし、横を車が並んで走っていたり、小駅を通過したりするときだけは、別であった。

 湖西線を走り、逢坂山の下を抜けると、京都市であるが、まだ、山科区である。それから、東山トンネルを抜けて、ようやく京都駅に着く。
 京都駅では、スーパー雷鳥は人気者だ。ホームにいる、ほとんどの人の視線が向けられる。前に「日本海」に乗ったときは、新幹線ホームの人の視線も向けられていたのだが、在来線ホームにいる人が少なかったので、それほど優越感は感じなかった。

 京都では、意外にたくさんの人が降りたが、まだ混んでいる。
 ここから新大阪までは都会の中を走る。そのため、距離感がつかめない。
 そして、「スーパーくろしお」とすれ違う。その3分後には、下りのスーパー雷鳥にもすれ違う。
 東淀川を過ぎ、ようやく減速する。大阪まで乗りたかったが、仕方なく降りる。
 ホームはいつも通り暗かったが、この前にこの列車に乗ったときと違い、活気が見られた(この前は、ストライキ中だった)のでよかった。

担当 山本

 JR運賃の研究  −第1回−

 駅に行って、何気なく運賃表を見て、その通りの切符を買って改札を通る。というのが普通だと思います。しかし、それよりも安く行ける場合があるのです。それも合法で。
 今回は、皆さんが最も利用する富山駅から県内の駅までの安くなる区間を調べてみました。ぜひ、ご利用ください。(もれがあるかも知れませんが、ご了承ください)

 乗車券の分割購入に伴う割安区間   富山駅から(富山県内の)駅まで

         魚津まで470円→   水橋で分割して460円
         黒部まで560円→   滑川で分割して540円
         生地まで640円→   滑川で分割して620円
       越中宮崎まで930円→  西入善で分割して890円

         笹津まで470円→   千里で分割して460円
         楡原まで560円→ 越中八尾で分割して540円
         猪谷まで640円→ 越中八尾で分割して620円

         戸出まで560円→   高岡で分割して540円
         油田まで560円→   高岡で分割して540円
         礪波まで640円→   高岡で分割して620円
        東野尻まで640円→   高岡で分割して620円
         高儀まで720円→   高岡で分割して620円
         福野まで720円→   高岡で分割して700円
        東石黒まで800円→高岡と戸出で分割して770円
         福光まで800円→高岡と油田で分割して770円
         城端まで930円→高岡と礪波で分割して850円

         雨晴まで560円→   高岡で分割して540円
         島尾まで560円→   高岡で分割して540円
         氷見まで640円→   高岡で分割して620円

 ただし、これらは発駅から分割する駅までの営業キロが100km以内のため、分割する駅で下車して、そこから行先駅までの切符を買ってください。(ちなみに101km以上の場合は、乗り越し精算の方法が変わるので、下車する必要はありません)

担当 村田

鉄道情報

 −氷見線用キサハ34形−

 この車輌は、氷見線の朝夕の混雑の緩和を図るための増結用に、客車を気動車に改造したものである。そのため、この車輌のみでは運転されない。

 城端・氷見線の印象を向上を図るため、車輌の塗色は一新することとなった。高岡鉄道部の城端・氷見線の両線区に運用される車輌を対象とし、氷見の海の色ダークブルーと、礪波平野の豊かな実りの色、さらに上部は立山連峰を意識してシルバーグレーとなった。
 最後に、キサハ34形気動車が高岡鉄道部の効率的・機動的な業務遂行の一助となり、鉄道が地域の皆さんから長く愛され、できれば、黒字に転じることを期待したい。

担当 村田

旅行報告

 期日 平成4年7月26日(日)
 手段 鉄道
 目的 鉄道知識の向上と、自主性を養うこと。
 趣旨 千曲・信濃川と並走する飯山線に乗車し、自然を探訪する。

 行程 富山   6時35分発  直江津  8時40分着  221M
    直江津  9時11分発  長野  10時54分着  334M
    長野  12時07分発  十日町 14時23分着  135D
    十日町 15時21分発  越後川口15時48分着  175D
    越後川口16時09分発  長岡  16時32分着 1743M
    長岡  17時08分発  柏崎  17時50分着 1356M
    柏崎  17時58分発  直江津 18時25分着 3322M   やひこ
    直江津 18時50分発  富山  20時44分着  580M
 概念図
       富山港線           越後線      上越新幹線
       、              、        ・
       、              、        ・
 北陸本線「「富山」」」糸魚川」」直江津」」柏崎」」宮内」」」長岡「「信越本線
       、    、    ・        ・    ・
       、    、    ・        ・    ・
       高山本線 大糸線  豊野」」十日町」」越後川口
                 ・        、
                 ・        、
                 長野       上越線
                 、
                 、
                 信越本線

 ※これを見て、感動でもしてください

 旅行記
 平成4年7月26日(日)、夏期研修旅行と題した旅行が上記の通り行われた。今号は特大号なので、旅行報告に旅行記をいれることにした。早速書き始めることにするが、筆者中心に書いてあることを注意しておく。

 5時47分、西入善上り始発列車は青空の下で発車する。座席数の2割ほどしか埋まっていない。この列車には旅行のとき以外でもよく乗るが、新鮮に思える。上記の要因からであろう。冬だと暗闇の中を発車するが、それもよい。
 行程の項を見ると、こんな早くに乗る予定はないが、世話人のため富山まで行かなければならないのである。もし、この列車が嫌いであったら、富山まで行かなかったかもしれない。そうすれば1時間半くらい多めに寝られる計算になる。つまり、富山に着いた後、今度は反対に西入善に向かって列車に乗るのである。

 6時27分、富山着。3番線から地下道を通り1番線へ。
 6時28分。1番線にはこれから乗る直江津行普通列車、2番線には特急「雷鳥」16号大阪行、3番線には先程の普通列車、4番線には特急「かがやき」1号長岡行、5番線には金沢方面行の普通列車、西ホームには越中八尾行普通列車、あと岩瀬浜行普通列車も停車している。つまり、駅に7本もの列車が停まっているのである。が、1分後には4番線が空いてしまう。そして、この列車が発車するまでいるのは3番線の列車だけである。
 6時35分、発車。いつも通学の際に見る風景と変わることはないが、沿線の風景というのは天候、時候、方向、気分も大きく作用する。晴、朝、逆(朝はこの方向には行かない)、嬉しいという要素のためか、いつもよりは景色を見たくなる。

 西入善に着く、が降りない。当たり前であるが、日頃の習慣からすると変わっていることといえる。
 入善ではちょうど「トワイライトエクスプレス」がすれ違う予定である。しかし、複線区間であるので、いつもうまい具合にはならない。実際も、こちらが停車する前に通過していく。
 泊では、「北越」1号が追い越すため7分の停車である。いつか書いたように(Townトレイン1号、参照)、スタンプを押す。「北越」1号の行先標「金沢−長岡(普通 長岡−新潟)」は面白いと思う。
 越中宮崎まで来ると、山が海にせまり、線路はその狭い間を通っていく。県境も近い。
 境川を渡ると新潟県に入り、市振に着く。山側は崖である。
 長いトンネルを抜けて、親不知に着く。第三セクターになったら、海上にある高速道路とひなびた列車が同時に写せる地点としてにぎわうのか。
 青海に着く。ここは、構内が広いので、第三セクター列車が停まったら不似合いであろう。
 8時00分、糸魚川に着く。1分間は停車していることが分かるので、途中下車印を押してもらう。列車に戻ると雰囲気が違う。客が入れ替わったようだ。
 糸魚川と次の梶屋敷との間には、交流から直流に替わるために、車内の蛍光灯が消える区間がある。が、気付かずに過ぎる。
 トンネルの中で停車する。筒石である。昔は、海岸沿いを走っていたのだが、波などに悩まされ、山側に新線を敷いた。その際にこの区間は地中に潜ったのであるが、駅はなくす訳にいかず、こうなったのである。こういう例は良い方で、線路変更とともに廃止になった駅はたくさんある。

 8時40分、終点直江津着。JR東日本管内に入り、旅行に来たという気分が増す。1番線から改札口までの長い通路も、旅情が感じられて、また良い。改札口で途中下車印を押してもらい、ついでに乗車船日の日付スタンプが押される。この駅、いつもこの点はしっかりしている。
 そのうち、4番線に長野行普通列車が入線する。ドアが開くと同時に席を確保するが、それほど客は多くならずに発車する。

 右を見ても線路がない。信越本線という「本線」でありながら、単線なのである。
 信越本線は、東京から新潟に向かうためにつくられたのであるが、碓氷峠の急勾配のために長い時間がかかった。そのため、大正3年には磐越西線という短絡線が開通して、以来約80年の間、本線としての役割がなくなったまま「本線」を名乗っているのである。もっとも、「本線」の名にそぐわない線区はこれ以外に幾つもあるが、「本」が剥脱されたという例は聞かないし、そんなことをしても、時刻表をにぎわし、駅のペンキをはがさなければならないだけで、経費の割に功徳の少なそうなことは、さすがの私にも分かる。
 脇野田では、すれ違いのため2分の停車である。途中下車印を押してもらう。単線にはこういう利点もある。  周りが木々に囲まれた何もないところで停車する。駅はない。そのうち、後方に進み、駅が見えてくる。  これだけしか書かないと、駅が急に現れたようで、推理小説に使えそうだが、実は、分岐器が切り替わって別線に入っただけなのである。これをスイッチバックという。急勾配上に駅をつくらなければならないときにそのまま駅をつくると、停車中にブレーキが緩み列車が動き出す、発車しても速度が上がらない等の危険があるため、別線を分岐させ駅をつくる方法があるのである。現在では線路、車輌の改良で数は減っているものの、JR線だけで17箇所残っている。
 その二本木を発車すれば、何事もなかったように走り、もとスイッチバックの関山に着く。
 妙高高原を発車すると次の黒姫までだけは複線になる。雪で不通になった際に2本あれば1本だけでも助かる可能性があるからか。
 が、夏に不通になる訳もなく、黒姫に着く。長野県である。
 さて、妙高高原にしても黒姫にしても、駅名が改称されてこうなっているのである。観光者にとっては分かりやすいと思うが、どこも観光地の名前になっては味気ないと思う。もし、そのように改称されなければ、「○○へ行くにはどこで降りればよいのか。」「△△ですが。」「ありがとう。」となって、鉄道愛好者の株も上がるかもしれない。
 黒姫では、普通列車と特急「あさま」とすれ違うため10分も停車する。先程の複線区間でうまい具合にすれ違えばと思うが、やはり、予想があたっているのであろう。
 写真、スタンプ、途中下車印と済ませてからも、まだ時間が余ったが、列車も気兼ねなのか、「あさま」が停車する前に発車する。
 牟礼に着く。気になるのは、川の向こうにある三水村というところに新しい土産屋が軒を並べていることである。こんな山中に建ててもうかるのかと思うが、乗客は多い。
 後に乗る飯山線の線路が合流して豊野に着き、再び複線区間となり、10時54分、長野に着く。

 長野では1時間ほど時間があるので自由時間になっている。私は、他の誘いもあり、強行軍ではあるが、善光寺を見てくることにする。
 行きは歩いたので、時間に間に合うかと気が急いだが、帰りにバスを利用して何とか間に合う。
 飯山線では駅弁は売っていないので、急いで弁当を選んていると、列車が入ってくる。駅弁を購入して、あわてて列車に向かうが、時は遅く、満員である。所々に席はあるが、弁当を開けられるような席はない。いつかの旅行のよう堂々と食べれば良いのであるが、身内がいる以上、なかなかできない。

 結局、立席のまま、12時07分、発車する。
 しかし、これも飯山線に入るまでには解消されるだろうと思う。飯山線は、特別事項により廃線からまぬがれたローカル線である。豊野までは信越本線を走るため人が多いが、その先は、座席に足を投げ出すことも可能になるほどの客しかいなくなるだろう。が、予想と違って、次の北長野で早くも座れる。弁当を食べる時間だけ予想にあわせる必要はないから、早速、食べることにする。「奥信濃野沢菜釜めし」と書いてある。味はまあまあだと思う。
 豊野まで来ると、ローカル線の列車だと言わんばかりの客数しかいなくなる。
 さて、この飯山線用車輌には「Voiture Amitie」という辞書でひいても分からない横文字が書いてある。若い客、または、観光客の客寄せかとも思う。どこでも「国鉄」の印象から転身しようということは行なわれているが、やり過ぎの点もあると思う。

 千曲川が見え出すと、この 線の見所となるのであるが、 睡魔の活動時間でもある。今 日は善光寺に行って疲れてい るので、さらに活発である。 が、習慣には負けるらしく、 4分間停車する森宮野原に着 く少し前には起きる。ちなみ にこの4分停車は雪で多少遅 れても取り戻すために設定さ れていると思われる。

 森宮野原を過ぎれば再び新潟県に入り、川が退屈であれば終点まで睡魔を活動させていても良いのであるが、津南で臨時列車のため4分の停車をするという放送が入り、又も睡魔が負ける。
 ホームには手に昆虫篭を持った子供が線路に落ちんばかりにいて「祝 カブトムシ号」という横断幕まである。これである。「カブトムシ号」が停車位置を間違ったことを記しておくが、それよりも、こうでもしないとカブトムシが捕れない世の中になったのだと思うと悲しくなる。鉄道旅行は、こういう利点があると思う。現実が見られるのである。
 北越北線の線路が左から寄ってきて、14時23分、十日町に着く。
 1時間ほど時間があるので、何をするか考えるが、駅にある近郊地図に、不思議な線路があったのでたどることにする。数十メートルまでは線路があるが、それより先は歩道、そして砂利道となっていた。結局、用途は分かずじまいである。
 駅に戻ると、うまい具合に次に乗る列車の改札が始まり、3番線まで行くが、先ほど乗ってきた列車である。そして、ドアが開く。

 15時21分、発車すると、北越北線は飯山線の上を通り、右側へ抜け、不思議な線は左に見え、そのうちに見えなくなる。
 川も幅が広くなり、そのうち飽きてくるが、睡魔も疲れて眠っているのか、活動されずに終点まで行く。
 15時48分、越後川口着。駅舎を写すが、錦鯉が描かれている。私の本には、隣駅の小千谷が有名だと書かれているが、入善ジャンボスイカみたいなものかもしれないから、追求しないことにする。
 16時09分に発車するが、相変わらず川と寄り添い、16時32分、長岡着。

 後は、複線電化の線路をひた走り、3本の列車を乗り継いで、筆者の家の最寄り駅に着き降りる。

 部員からの緊急連絡がないことを確認して、旅行日程の全てが終わったのである。

担当 村田

編集後記

 前年のこの日に広報を創刊してはや1年にもなる。が、月刊のはずがのびにのびて、隔月刊とさえもいえない状態であるのは残念な限りである。この学校際が終われば、2年の時から1年半にわたって行なっていた部長の仕事もなくなるだろうと思うので、独断で私の記事を入れたりしたが、これが私の最後の編集となるので、大目に見てもらいたいと思う。最後に、この「Town トレイン」が長い期間発行されることを祈り、終わりとする。

 Town トレイン 平成3年9月創刊
  第5号 平成4年9月発行 富山大学教育学部附属中学校鉄道部

戻る