高張力鋼板のバウシンガ効果の研究
 研究の背景・目的
 自動車の衝突安全性の向上と車体軽量化を実現するため,自動車外板パネルにおいても高張力鋼板の適用が進められている.また,消費者のニーズに応えるため様々なデザインの自動車が生産されており,自動車外板にも多様な形状が求められている.しかし,自動車外板のプレス成形では製品外観を著しく損なう面ひずみ(図1)が問題となっている.そのため,自動車のニューモデル用の型を生産準備する現場では,破断の回避と同等またはそれ以上に面ひずみの抑制や消去に努力が払われている.面ひずみは材料特性や金型形状に依存するため,高張力鋼板の適用や外板パネルの型変更は面ひずみの問題をさらに深刻にしている.
 従来,面ひずみの対策はプレス設計者やトライ&エラーでの経験技術に大きく依存してきた.しかし,近年,生産準備期間を短縮するために,科学的アプローチに基づいた有限要素法による面ひずみ対策が急務となっている.しかし,有限要素法を用いた実用的な面ひずみ評価指標は確立されていない.



図1 面ひずみの発生箇所(斜線部分)と自動車ドアパネルに発生した面ひずみ
 研究方法と特徴
 そこで,当研究室では静的陰解法FEMソフトウェアABAQUS / Standard Ver.6.3を用いて自動車ドアパネルのエンボス部をモデル化した面ひずみの解析(図2)を行い,その発生メカニズムを理解するとともに面ひずみの評価指標を確立することを目指している.
図2 解析モデル(左)と方向変位量の解析結果(右)
 研究成果
 なし(2005年1月現在)