黒川 浩助 教授2006 PVSEC賞(太陽光発電国際会議賞)受賞

 アジア・太平洋地区で太陽光発電の発展に最も貢献した人を讃える「2006 PVSEC賞」に黒川 浩助教授が選ばれ、ハワイ州ワイコロアで開催中の「第4回太陽光発電世界会議」の会場で去る5月11日に授賞式が行われました。
 この賞はPVSEC賞(太陽光発電国際会議賞)選考委員会が主催しているもので、黒川教授は、戸建て住宅への太陽光発電システムで、個別設置ではなく地域単位での設置を実現する技術の基本概念を世界に先駆けて提唱したことや、太陽光発電技術の国際会議の開催に尽力してきたことなどが評価されました。
 授賞式で黒川教授は「2030年までに国内総電力需要の10%を太陽光でまかなうことを目標に、住宅用太陽光発電システム中心のソーラーコミュニティを実現したい」と抱負を語りました。
 
 黒川博士は1996年より東京農工大学に奉職し、現在大学院共生科学技術研究院生存科学研究拠点の教授です。
 同教授は、電子技術総合研究所(現・独立行政法人産業技術総合研究所の一部)においてエネルギーシステム工学を専門分野としてきました。最初の業績は超高圧直流送電に関連する研究です。光ゲート高電圧半導体バルブを開発し、安定した直流送電技術の実現に顕著な貢献をしました。同教授が開発した方式の高電圧サイリスタバルブは、北海道−本州間の直流海底ケーブルによる連系送電線のプロトタイプとなっています。この活躍により1971年12月から1年間、英国ポリテクニック・オブ・セントラル・ロンドン(現・ウェストミンスター大学)に招へい研究員として滞在しました。第一次石油危機を契機として1974年に通商産業省のサンシャイン計画に参画し、太陽エネルギー研究に没頭することになりました。同省サンシャイン計画推進本部や、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)出向経験もあります。

 受賞理由になった最も重要なプロジェクトは1977年に提唱した世界で最初の屋根置き型の住宅用系統連系型太陽光発電システムの研究開発です。多数の太陽光発電システムが送電線を通じて協調運転し、一つの太陽光発電所のような運用を目指します。この提唱からスタートして、これまでの約30年間に日本の主要ターゲットとして住宅用の太陽光発電研究プログラムが継続され、現在は20万軒以上が急速に普及するようになり、世界からの注目を集めました。
 
 現在、太陽光発電システム評価、建材一体型モジュール、パワーエレクトロニクス、蓄電システム、国内・国際標準化、太陽光発電コミュニティの面展開シナリオ、自律度向上型太陽光発電、砂漠地域における大規模太陽光発電(VLS-PV)など広範囲に精力的な研究を行っています。

 同教授は1998年に第2回世界太陽光発電ウィーン会議において大会副委員長、2003年第3回世界太陽光発電大阪会議の大会委員長として成功を収めました。また、2006年10月に幕張で開催される再生可能エネルギー2006国際会議(RE2006)でも創始者として大会委員長を務めます。国際エネルギー機関の太陽光発電国際協力プログラムにおいてタスクリーダーを務め、また現在、国際電気技術会議(IEC規格)の第82技術委員会(太陽光発電)の日本代表など国際経験が豊富です。過去30年間、太陽光発電システム技術の分野のオピニオンリーダーとして活躍しています。
 

「黒川 浩助 教授はソーラーコミュニティの実現を提唱している」
(上記はNEDO技術開発機構による集中連系型太陽光発電システムプロジェクト)
 
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