○東京農工大学小金井動物救急医療センター放射線障害予防規程
(令和7年1月27日小医規程第2号)
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。以下「RI規制法」という。)及び関連法令に基づき、東京農工大学小金井動物救急医療センター(特定許可届出使用者をいう。以下同じ。以下「事業所」という。)における放射線発生装置(以下「リニアック」という。)及び放射性汚染物の取扱い及び管理に関する事項を定め、放射線障害の発生を防止し、公共の安全を確保することを目的とする。
(適用範囲)
第2条 この規程は、次条に規定する放射線治療施設に立ち入る者全てに適用する。
(用語の定義)
第3条 この規程において用いる用語の定義は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 放射線治療施設 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号。以下「施行規則」という。)第1条第9号に定める、放射線発生装置が設置されている施設をいう。
(2) 放射線取扱等業務 リニアック及び放射性汚染物の取扱い及び管理又はこれに付随する業務をいう。
(3) 放射線業務従事者(以下「業務従事者」という。)放射線取扱等業務に従事する者であって、管理区域に立ち入る者をいう。
(4) 一時立入者 業務従事者以外の者で一時的に管理区域に立ち入る者をいう。
(他の規則等との関連)
第4条 リニアック及び放射性汚染物の取扱い、管理及び保安については、この規程に定めるもののほか、次の各号に掲げる規則等の定めるところによる。
(1) 東京農工大学小金井動物救急医療センター放射線治療施設の組織及び運営に関する細則(以下「運営細則」という。)
(2) 国立大学法人東京農工大学環境・安全衛生委員会細則(以下「全学委員会細則」という。)
(3) 国立大学法人東京農工大学放射線障害予防細則(以下「予防細則」という。)
(4) 東京農工大学放射線施設緊急時対応マニュアル(以下「緊急時対応マニュアル」という。)
(5) 東京農工大学放射線測定器点検マニュアル(以下「点検マニュアル」という。)
(遵守等の義務)
第5条 放射線治療施設において、業務従事者及び一時立入者は、第12条第1項に定める放射線取扱主任者が放射線障害の防止のために行う指示を遵守し、その指示に従わなければならない。
第2章 組織及び職務
(安全管理組織)
第6条 事業所における放射線障害の発生の防止及び安全の確保に関する組織は、別図のとおりとする。
(学長)
第7条 学長は、東京農工大学(以下「本学」という。)の代表者であり、事業所における放射線治療施設及び放射線取扱等業務に関して安全管理上の最終的な責任者として係る業務を総括する。
2 学長は、第12条第1項に定める放射線取扱主任者が放射線障害防止のために行う意見具申を尊重しなければならない。
(全学の委員会)
第8条 環境・安全衛生委員会の下に設置された放射線安全小委員会(以下「小委員会」という。)は、本学における放射性同位元素等の安全取扱い及びその安全管理の向上をはかることを目的として、全学委員会細則に定める職務を行う。
(事業所の長)
第9条 小金井動物救急医療センター長(以下「センター長」という。)を事業所の長とする。
2 センター長は、事業所における放射線治療施設及び放射線取扱等業務を統括し、当該業務の安全管理上の責任を有するものとする。
3 センター長は、第12条第1項に定める放射線取扱主任者が放射線障害防止のために行う意見具申を尊重しなければならない。
4 センター長は、小委員会の答申又は意見具申を尊重しなければならない。
5 センター長は、安全管理上必要な措置を講ずる。
(事業所の組織)
第10条 放射線治療施設の運営並びに放射線障害の発生の防止及び安全の確保についての立案並びに審議するために小金井動物医療救急センター放射線障害予防委員会(以下「障害予防委員会」という。)を置く。
2 放射線治療施設及び障害予防委員会の組織及び運営については、運営細則に定める。
(施設使用責任者)
第11条 放射線作業の実務責任者として施設使用責任者を置く。
2 施設使用責任者は、次の業務を行う。
(1) 業務従事者に対する取扱等業務についての適切な指示
(2) 取扱等業務に関する記帳の指示
(3) 第17条に規定する定期点検
(4) 放射線測定機器の保守
(5) その他取扱等業務に必要な措置
3 施設使用責任者の選任及び任期については、運営細則に定める。
(放射線取扱主任者)
第12条 放射線治療施設に、放射線障害の防止について総括的な監督・指導を行わせるため、RI規制法に規定する放射線取扱主任者(以下「主任者」という。)を1名以上置く。
2 主任者は事業所における放射線障害の防止に関し、次の各号に掲げる職務を担う。
(1) 放射線障害予防規程及び細則等の制定並びに改廃への参画
(2) 放射線障害防止上重要な計画作成への参画
(3) 教育及び訓練の計画等に対する指導並びに指示
(4) 危険時の措置等に関する対策への参画
(5) 法令に基づく申請、届出及び報告の確認・審査
(6) 立入検査等の立会い
(7) 異常及び事故の原因調査への参画
(8) 学長及びセンター長に対する意見の具申
(9) リニアックの使用状況等、放射線治療施設、法定帳簿、関係書類等の確認・審査
(10) 業務従事者等に対する監督・指導
(11) 関係者への助言、勧告及び指示
(12) 小委員会及び障害予防委員会の開催の要求
(13) その他放射線障害防止に関する必要事項
3 主任者が旅行、疾病その他の事故等により、その職務を行うことができない場合に主任者の職務を代行するために、主任者代理(以下「代理者」という。)を置く。
(1) センター長は主任者が30日以上職務を行えない場合は学長に報告し、学長は原子力規制委員会に代理者の選任の届出を選任後30日以内にしなくてはならない。
(2) センター長は主任者が職務を行えない期間が終了したときは学長に報告し、学長は代理者を解任する。この場合において、前項により原子力規制委員会に専任の届出を行ったときは、学長は原子力規制委員会に代理者解任の届出を解任後30日以内に行なければならない。
4 主任者及び代理者の選任並びに任期については、運営細則に定める。
5 センター長は、選任されている主任者に対して、次の各号に掲げるRI規制法で定められた期間毎に定期講習を受講させなければならない。
(1) 主任者の選任日から1年以内(ただし、主任者選任日の前1年に受講した者は、その受講日の翌年度の開始日から3年以内)
(2) 主任者の選任後、定期講習を受講したものにあっては、当該受講日の翌年度の開始日から3年以内
(業務従事者の登録等)
第13条 事業所において業務従事者に登録しようとする者は、原則として年度ごとに、予防細則に定める業務従事者登録申請書により、センター長に申請しなければならない。
2 センター長は、前項の承認を行うにあたり、業務従事者として登録申請した者に対し第25条に定める教育及び訓練並びに第26条に定める電離放射線健康診断(以下「健康診断」という。)を実施しなければならない。
3 主任者は、前項の健康診断において取扱い可と診断された者について、既に受けた放射線障害の発生を防止するために必要な教育及び訓練の内容並びにリニアックの取扱いの可否を審査し、その結果をセンター長に報告するものとする。
4 前項の報告を受けたセンター長は、その結果を照査した上で、放射線取扱等業務に従事することを許可する。
5 主任者は、業務従事者が関係法令、本規程、主任者の指示等に違反した場合又はリニアックの使用能力に欠けると認めたときは、当該業務従事者の登録の取消し、取扱等業務の一時停止等必要な措置をセンター長に上申しなければならない。
6 センター長は、前項の上申を受けたとき、当該業務従事者の放射線取扱等業務を制限すること、又は許可を取り消すことができる。
7 業務従事者は、リニアックを使用しなくなったときは、速やかに主任者を通じて、センター長に届け出なければならない。
第3章 放射線治療施設の維持及び管理
(管理区域)
第14条 センター長は、放射線障害防止のため、施行規則第1条第1号に定める場所を管理区域として設定し、主任者にその区域を管理させるとともにRI規制法に定める標識等を明示させなければならない。
2 主任者は、次の各号に掲げる者以外の者を担当する管理区域に立ち入らせてはならない。
(1) 業務従事者として登録された者
(2) 見学者等で一時立入者として主任者が認めた者
(管理区域における遵守事項)
第15条 管理区域に立ち入る者は、次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 定められた出入口から出入りすること。
(2) 管理区域への立ち入り、退出、取扱等を記録すること。
(3) 個人被ばく線量計を指定された位置に着用すること。
(4) 管理区域内において飲食、喫煙等内部被ばくのおそれのある行為を行わないこと。
(5) 業務従事者は、主任者及び施設使用責任者が放射線障害を防止するために行う指示その他放射線治療施設の保安を確保するための指示を遵守し、その指示に従うこと。
(6) 一時立入者は、主任者及び施設使用責任者が放射線障害を防止するために行う指示その他放射線治療施設の保安を確保するための指示を遵守し、その指示に従うこと。
2 施設使用責任者は、管理区域の入口の目につきやすい場所に管理区域に係る注意事項を掲示し、管理区域に立ち入る者に遵守させなければならない。
3 施設使用責任者は、リニアックの操作する場所に取扱いに係る注意事項を掲示し、業務従事者に遵守させなければならない。
(日常点検)
第16条 施設使用責任者は、次に掲げる項目について日常の使用開始前に次に掲げる項目について点検を行う。
(1) 標識及び注意事項の掲示板の破損及び脱落
(2) 自動表示装置の作動
(3) インターロックの作動
(4) 出入口扉の正常な開閉
(5) 治療を受ける動物の監視装置の作動
2 施設使用責任者は、前項の点検の結果、異常があった場合はセンター長及び主任者に報告する。
3 センター長は、異常箇所について修理等必要な措置を講じなければならない。
(定期点検)
第17条 施設使用責任者は、放射線治療施設の維持・管理及び放射線障害防止のため、予防細則定める放射線治療室の点検記録書(以下「点検記録書」という。)に基づき年2回定期的に調査・点検し、必要があるときは、臨時に調査・点検を行うものとする。
2 施設使用責任者は、前項の調査・点検結果を点検記録書に記録し、点検の実施のつど主任者に報告する。また、障害予防委員会及び小委員会に年1回報告する。
3 施設使用責任者は、第1項の自主点検の結果、異常を認めたときは、その状況及び原因を調査し、必要な応急措置を講ずるとともに、主任者に報告しなければならない。
4 前項の報告を受けた主任者は、センター長に報告しなければならない。
5 センター長は、前項の報告を受けた場合、修理等必要な措置を講じなければならない。センター長が対処できない異常については、学長に報告しなければならない。
(修理、改造、新設及び改廃)
第18条 施設使用責任者は、第16条第1項及び第17条第1項に定める点検の結果を基に、修理、改造等を行うときは、その実施計画を作成し、主任者の確認を経てセンター長の承認を得なければなければならない。ただし、保安上特に影響が軽微と認められるものについてはこの限りではない。
2 センター長は前項の承認を行う場合で、必要があると認めるときは、その安全性、安全対策等について障害予防委員会に諮問するものとする。
3 主任者は、修理作業が放射線取扱等業務に該当しない場合は、作業者を一時立入者として管理区域に入域させることができる。
4 施設使用責任者は、第1項の修理、改造等を終えたときは、その結果について主任者を経由してセンター長に報告しなければならない。
5 リニアックの保守等において放射化物となった部品等を交換したときは、遅滞なく公益社団法人アイソトープ協会に委託廃棄しなければならない。
6 放射線治療施設又はリニアックを新設又は改廃しようとするときは、センター長は、放射線障害の防止に関して小委員会へ事前に協議を行ったうえで学長の承認を受けなければならない。
7 前項の放射線治療施設等が新設又は改廃を完成したときは、センター長は、その旨を学長及び小委員会に報告しなければならない。
第4章 使用
(リニアックの使用)
第19条 リニアックを使用する者は、施設使用責任者の管理のもとに次の事項を遵守しなければならない。
(1) 放射線に被ばくする時間をできる限り少なくすること。
(2) 使用前に自動表示装置及びインターロック等が正常に作動することを確認するとともに、放射線治療室内に人がいないことを確認すること。
(3) 放射線治療に当たっては、放射線治療室内には治療を受ける動物以外に人や動物がいないことを確認すること。
(4) 使用中は、運転中であることを明示すること。
第5章 測定
(測定の責任者)
第20条 センター長は、安全管理に係る放射線測定器等を備えなければならない。
2 施設使用責任者は、放射線障害のおそれのある場所について、放射線の量の測定を行い、その結果を評価し予防細則に定める所定の帳簿に記録しなければならない。ただし、測定が著しく困難な場合は、算定によってその値を評価するものとする。
(場所の測定)
第21条 施設使用責任者は、放射線障害の発生するおそれのある場所について、放射線の量の測定を行い、その結果を評価し記録しなければならない。
(1) 放射線の量の測定は、原則として1センチメートル線量当量について、放射線測定器を用いて行わなければならない。
(2) 測定の実施時期は、リニアックの取扱いを開始する前に1回、取扱い開始した後にあっては、6月を超えない期間ごとに1回行うこと。ただし、主任者が必要と判断した際は随時行うこと。
(3) 放射線量の測定は、放射線治療施設、管理区域境界、人が居住する区域及び事業所の敷地境界についてあらかじめ定めた箇所について行うこと。
2 前項の測定結果は、次の各号に掲げる項目について予防細則に定める所定の帳簿に記録し、主任者の確認を受けた後にセンター長に報告するとともに、センター長は5年間これを保存しなければならない。
(1) 測定日時又は測定年月日
(2) 測定箇所
(3) 測定者の氏名又は名称
(4) 放射線測定器の種類及び型式
(5) 測定方法
(6) 測定結果
(7) 測定の結果とった措置がある場合には、その内容
(個人被ばく線量の測定及び算定)
第22条 主任者は、管理区域に立ち入る者に対して適切な個人被ばく線量計を着用させ、次の各号に掲げる事項に従い個人被ばく線量を測定しなければならない。ただし、被ばく線量計を用いて測定することが著しく困難な場合は、計算によってこれらの値を算出・算定することとする。
(1) 放射線の量の測定は外部被ばくによる線量について行うこと。
(2) 測定は胸部(妊娠可能な女子にあっては腹部)について、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量について行うこと。
(3) 前号のほか頭部及び頸部から成る部分、胸部及び上腕部から成る部分並びに腹部及び大腿部から成る部分のうち、外部被ばく線量が最大となるおそれがある部分が、胸部及び上腕部から成る部分(前号において腹部について測定することとされる女子にあっては腹部及び大腿部から成る部分)以外の部分である場合は、当該部分についても前号に掲げる各線量の測定を行うこと。
(4) 人体部位のうち外部被ばくが最大となるおそれがある部位が頭部、頸部、胸部、上腕部、腹部及び大腿部以外である場合は、第2号及び第3号のほか当該部位以外についても70マイクロメートル線量当量の測定を行うこと。
(5) 前各号の測定は管理区域に立ち入る者について、管理区域に立ち入っている間継続して行うこと。ただし、一時立入者として主任者が認めた者であって業務従事者でないものは、外部被ばく線量と内部被ばく線量の合算値が100マイクロシーベルトを超えるおそれのあるときに行うこと。
(6) 次に掲げる事項について測定の結果を記録すること。
ア 測定対象者の氏名
イ 測定者の氏名又は名称
ウ 放射線測定器の種類及び型式
エ 測定日時又は測定年月日
オ 測定方法
カ 測定部位及び測定結果
(7) 前号の測定結果について、実効線量及び等価線量を4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする各3月間、4月1日を始期とする1年間並びに本人の申出等によりセンター長が妊娠の事実を知った女子にあっては出産までの間毎月1日を始期とする1月間について、当該期間ごとに集計し記録すること。
(8) 第7号の測定結果から実効線量及び等価線量を算定し次に掲げる事項について記録すること。
ア 算定年月日
イ 対象者の氏名
ウ 算定者の氏名又は名称
エ 算定対象期間
オ 実効線量
カ 等価線量及び組織名
(9) 前号の算定は4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする各3月間、4月1日を始期とする1年間並びに本人の申出等によりセンター長が妊娠の事実を知った女子にあっては出産までの間毎月1日を始期とする1月間について、当該期間ごとに記録すること。
(10) 前号による実効線量の算定の結果、4月1日を始期とする1年間についての実効線量が20ミリシーベルトを超えた場合は、当該1年間を含む5年間の累積実効線量を当該期間についても毎年度集計し、次に掲げる事項について記録する。
ア 集計年月日
イ 対象者の氏名
ウ 集計した者の氏名又は名称
エ 集計対象期間
オ 累積実効線量
(11) 第7号から第10号の記録は、主任者の確認を受けた後、センター長が事業所に永久保存すること。ただし、当該記録の対象者が業務従事者でなくなった場合又は当該記録を5年間保存した後においてこれを原子力規制委員会が指定する機関に引き渡すときには、この限りでない。
(測定の信頼性確保)
第23条 施設使用責任者は、第21条及び第22条で使用する放射線測定器の信頼性の確保と、常に正常な機能を維持するために必要な点検及び校正を定期的に実施し、その結果を記録しなければならない。
2 前項の点検及び校正についての詳細は、点検マニュアルに定める。
(記録の交付)
第24条 センター長は主任者に指示して、業務従事者の第22条第7号から第10号の記録のつど、その写しを当該測定の対象者に対し交付しなければならない。
第6章 教育及び訓練
(教育及び訓練)
第25条 センター長は主任者に指示して、本規程等の周知等を図るほか、次の各号に掲げる者について、放射線障害の発生を防止するために必要な教育及び訓練を行わなければならない。
(1) 業務従事者
(2) 放射線取扱等業務以外の目的で管理区域へ一時的に立ち入る一時立入者
2 教育及び訓練は、以下の時期に実施する。
(1) 業務従事者として登録する前
(2) 前項第1号の者が、初めて管理区域に立ち入る前及び取扱等業務に従事する前
(3) 前項第1号の者が、従事者として登録した後にあっては登録後、前回の受講日の属する年度の翌年度の開始日から1年以内
(4) 前項第2号の者については、管理区域に立ち入る前
3 教育及び訓練は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 主任者は、前項第1号、2号及び3号に定める教育及び訓練について、次表に定める項目と時間数のとおり実施する。
 項目時間数
放射線の人体に与える影響30分以上
リニアックの安全な取扱い1時間以上
放射線障害の防止に関する法令及び放射線障害予防規程30分以上
その他放射線障害の防止に関して必要な事項適宜決定する
(2) 第1号に掲げる項目の具体的な実施内容及び時間数の変更及び改善について、主任者が作成し、障害予防委員会の承認を得ることとする。
(3) 前項第4号に定める教育及び訓練は、当該者が立ち入る放射線治療施設において放射線障害が発生することを防止するために必要な項目を主任者が口頭又は掲示等により実施する。
(4) 第1号及び第2号に掲げる項目のその実施内容及び時間数については、教育訓練受講記録に記録する。
4 前項の規定にかかわらず、前項第1号に掲げる実施項目に関して十分な知識及び技能を有していると認められる者に対しては、主任者は次に掲げる省略基準に基づき、センター長に上申し、センター長は教育及び訓練の一部を省略することができる。この場合において、教育訓練受講記録に省略理由を記載しなければならない。
省略基準
ア 他事業所等で前年度の教育訓練の受講歴が確認でき、主任者がその項目と時間数を本事業所の教育及び訓練と同等以上と判断できる場合
イ 過去5年以内に外部機関による教育及び訓練又は同様の研修の受講歴が確認でき、主任者がその項目と時間数が本事業所の教育及び訓練と同等以上と判断できる場合
ウ その他、前項第1号に掲げる実施項目について、十分な知識を有していると主任者が認めたことを書面で確認できた場合
第7章 健康診断
(健康診断)
第26条 センター長は、第13条第1項により業務従事者の登録を申請した者に対して健康診断を実施しなければならない。
2 健康診断は、問診及び検査又は検診とし、それぞれ次の各号に掲げる事項とする。
(1) 問診は次の事項について行うものとする。
ア 放射線の被ばく歴の有無
イ 被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容、期間、線量、放射線障害の有無その他放射線による被ばくの状況
(2) 検査又は検診は、次に掲げる部位又は項目について行うものとする。
ア 末しょう血液中の血色素量又はヘマトクリット値、赤血球数及び白血球数及び白血球百分率
イ 皮膚
ウ 
エ その他原子力規制委員会が定める部位及び項目
3 健康診断の実施時期は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 業務従事者として登録する前又は初めて管理区域に立ち入る前
(2) 管理区域に立ち入った後にあっては1年を超えない期間(ただし、本学教職員の業務従事者については6月以内)ごとに1回以上受けなければならない。
(3) 前号に関わらず、前年度において取扱等業務に従事していないか又は前年度の実効線量が5ミリシーベルトを超えず、かつ、当該年度においても超えるおそれがない者については、医師が認めたときに限り第2項第1号を除き省略することができる。
4 センター長は、前項の規定にかかわらず、業務従事者が実効線量限度又は等価線量限度を超えて放射線に被ばくし、又は被ばくしたおそれのある場合は、本部事務局健康診断担当部署(以下「健康診断担当部署」という。)に報告の上、速やかにその者について健康診断を行わなければならない。
5 センター長は、次の各号に掲げる事項に従い健康診断の結果を記録しなければならない。
(1) 実施年月日
(2) 対象者の氏名
(3) 健康診断を実施した医師名
(4) 健康診断の結果
(5) 健康診断の結果に基づいて講じた措置
6 センター長は、健康診断の結果を健康診断担当部署に永久保存するとともに、実施のつど主任者に報告し、記録の写しを本人に交付しなければならない。この場合において、記録の写しに代わり、当該記録を電磁的方法により、対象者に交付することができる。また、健康診断の結果の記録は、受診者が事業所の業務従事者でなくなった場合又は当該記録を5年以上保管した場合において、これを原子力規制委員会が指定する機関に引き渡すことができる。
(放射線障害を受けた者等に対する措置)
第27条 センター長は、健康診断を行った医師の診断及び主任者の意見に基づいて、放射線障害を受けた業務従事者又は受けたおそれのある業務従事者に対して、その程度に応じ、管理区域への立入時間の短縮、立入りの禁止、放射線被ばくのおそれの少ない業務への配置転換又は必要な保健指導等の保健上必要な措置を講じるとともに、その結果を小委員会及び学長に報告しなければならない。
2 センター長は、一時立入者等業務従事者以外の者が放射線障害を受けた又は受けたおそれのある場合には、速やかに、医師による健康診断及び必要な保健指導等の適切な措置を講じなければならない。
第8章 記帳及び保存
(記帳・記録)
第28条 施設使用責任者は、リニアックに係る使用及び点検の記録並びに教育及び訓練に係る記録を行う帳簿(以下「帳簿」という。)を備え記帳させなければならない。
2 帳簿に記載すべき項目は、予防細則に定めるところによる。
3 帳簿は、4月1日を始期とし、翌年3月31日を締日とする1年間ごとに管理する。
4 帳簿は、毎年度3月31日又は事業所の廃止等を行う場合は廃止日等に閉鎖し、センター長が5年間、予防細則に定める場所に保存しなければならない。
第9章 災害時及び危険時の措置
(事故等の原子力規制委員会への報告)
第29条 次の各号に掲げる事態の発生を発見した者は、緊急時対応マニュアルに従い報告しなければならない。
(1) 次の線量が法定の線量限度を超え、又は超えるおそれのあるとき。
ア 放射線治療施設内の人が常時立ち入る場所において人が被ばくするおそれのある線量
イ 事業所の境界及び事業所内の人が居住する区域における線量
(2) 使用その他の取扱いにおける計画外の被ばくがあったときであって、次の線量を超え、又は超えるおそれがあるとき。
ア 業務従事者:5ミリシーベルト
イ 業務従事者以外の者:0.5ミリシーベルト
(3) 業務従事者について、実効線量限度若しくは等価線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあったとき。
(4) 前号のほか放射線障害が発生したとき又はそのおそれがあるとき。
(5) 管理区域に火災が起こり、又は管理区域に延焼のおそれがあるとき。
2 センター長は、前項の報告を受けたときは、その状況及びそれに対する措置を10日以内に、学長を経由して、それぞれ原子力規制委員会に報告しなければならない。
(災害時の措置)
第30条 施設使用責任者又は主任者は、事業所が所在する小金井市で大規模自然災害(震度5強以上の地震、風水害による家屋全壊(住宅流出又は1階天井までの浸水、台風及び竜巻等による家屋全壊が発生した場合))が起こった場合、まず緊急時対応マニュアルに定める災害時の緊急連絡体制に従い主任者を経由してセンター長に報告しなければならない。また、安全確保の上、可能な限り速やかに予防細則に定める放射線治療施設等の地震等災害時における緊急点検記録書(以下「緊急点検記録書」という。)に基づき点検を行い、その結果を記録するとともに、主任者及びセンター長に報告しなければならない。
2 管理区域において火災が発生した場合又は事業所内の管理区域外の火災で管理区域に延焼する可能性がある場合には、放射線治療施設内にいる者、これらの近くにいる者は、速やかに避難するとともに緊急時対応マニュアルに定める災害時の緊急連絡体制に従って主任者及びセンター長に報告しなければならない。また、火災を発見した者は直ちに消防署へ連絡するとともにリニアックの存在を告知し、安全確保を最優先した上で、可能な範囲で初期消火等に努めなければならない。
3 前項の報告を受けた主任者は、直ちに原子力規制委員会へ電話連絡を行うとともにFAX等により状況を報告しなければならない。
4 主任者又は施設使用責任者は、管理区域に火災が及んだ場合には、鎮火後、緊急点検記録書に基づき点検を行い、その結果を記録するとともに、主任者及びセンター長に報告しなければならない。
5 センター長は第1項及び第4項の点検の結果、RI規制法の報告対象となる異常事態が確認された場合には、直ちに原子力規制委員会へ電話連絡、FAX等により状況の報告を行うとともに、主任者と協議の上、必要な応急措置を講じるとともに、直ちに学長に報告しなければならない。
6 学長は、センター長の応急措置では対応しきれない事態に対して、放射線治療施設の安全管理上必要な予算的措置を講じなければならない。
(危険時の措置)
第31条 地震及び風水害等の災害、火災、事故、トラブル等により放射線障害が発生したとき又は発生するおそれがあるとき、その発見者は、緊急時対応マニュアルに定める手順にしたがって、直ちに次の各号に定められた応急措置等を講じる。
(1) 緊急の事態を発見した者は、直ちに主任者及び施設使用責任者に状況を報告する。
(2) 緊急の事態を発見した者は、可能な範囲で被害の拡大防止に努める。
2 主任者及び施設使用責任者は、前項の情報を共有するとともにその旨をセンター長に連絡する。
3 センター長は、前項の連絡を受けてその状況から放射線障害が発生又は発生のおそれがあると判断したときは直ちに主任者に、関係する所轄の警察署又は消防署又は労働基準監督署等への通報及び原子力規制委員会へ第29条の報告をさせ、速やかに緊急時対応マニュアルに定める職員からなる緊急対策本部を組織するとともに、応急措置の責任者となる緊急対策本部長(以下「本部長」という。)の任に就き対応にあたる。
4 本部長は、主任者の助言の下に緊急対策本部を通じ第1項第2号に定める応急措置の追加支援及び次項に定める緊急措置について職員に指示し、放射線障害の発生の防止に努めなければならない。
5 前項の指示を受けた職員及び学生は、前項の指示及び緊急時対応マニュアルに定める手順に従い避難警告、汚染の拡大防止、汚染の除去及び所定の表示などの措置を講じなければならない。
6 本部長は、主任者の助言の下に緊急作業が必要な場合は緊急時対応マニュアルに定める手順に従い緊急作業者を任命し、個人線量計、被ばく防止のための防護具等を装備させて、作業を行わせなければならない。
7 センター長は、応急の措置を講じた者、周囲にいた者又は緊急作業者が、法定の線量限度を超える被ばくをした場合又は被ばくしたおそれがある場合、直ちにこれらの者に対して健康診断を実施し、その後の経過を観察しなければならない。
8 センター長及び主任者は、前項の場合においては第29条に規定する事故等の報告を原子力規制委員会に行わなければならない。
第10章 情報提供
(事故等発生時の情報提供)
第32条 事故等の原子力規制委員会への報告を要する放射線障害のおそれのある場合又は放射線障害が発生した場合、障害予防委員会の上申のもとセンター長は学長に報告した上で、本部事務局広報担当部署を通じて大学ホームページ等で、次項に定める事故等の状況、被害の程度等を公衆及び報道機関へ情報提供するとともに、外部からの問合せに対応するため、経営部財務課に問合せ窓口を設置するものとする。
2 発生した事故の状況及び被害の程度等に関して外部に提供する内容(以下「情報提供内容」という。)は、次の各号に掲げる事項とする。
(1) 事故の発生日時及び発生した場所
(2) 汚染状況等による事業所外への影響
(3) 事故発生場所で取り扱っているリニアックの性能
(4) 応急措置の内容
(5) 放射線測定器による放射線の量の測定結果
(6) 事故の原因及び再発防止策
(7) その他事故に関する情報
3 センター長は、情報提供内容について、障害予防委員会の上申のもと、小委員会の協議を経て決定し、学長に報告する。
第11章 報告
(定期報告)
第33条 施設使用責任者は、毎年4月1日から翌年3月31日までの期間について原子力規制委員会の定める様式による放射線管理状況報告書を作成し、主任者の確認を経て、小委員会に提出し、同委員会の確認を経て学長に報告しなければならない。
2 学長は、前項の報告書を当該期間の経過後3月以内(次年度の6月30日まで)に、原子力規制委員会に届出なければならない。
第12章 業務改善
第34条 センター長は、リニアックの使用・管理等に係る安全性を向上させるため、放射線障害防止に関する業務評価を障害予防委員会に実施させるものとする。
2 障害予防委員会は、放射線安全管理業務がRI規制法、関連法令及びこの規程に適合しているか年1回以上業務評価を行い、その結果を主任者及びセンター長に報告し、センター長は学長及び小委員会に報告しなければならない。
3 センター長は、前項の報告の結果改善の必要があると判断した場合には、改善の措置を行い、改善の結果を学長及び小委員会に報告しなければならない。
4 センター長は、事業所だけでは対応しきれないと判断した場合には、業務を改善するために必要な措置を学長へ要望するものとする。
第13章 その他の事項
(事務の処理)
第35条 この規程に係る事務は、経営部財務課が処理する。
(雑則)
第36条 この規程の改正に当たっては、事前に小委員会の議を経るものとする。
2 この規程の実施に関し、必要な事項は、障害予防委員会の上申により、小委員会の議を経て、センター長が定める。
附 則
この規程は、令和7年1月27日から施行する。
別図(第6条関係)
放射線障害の防止に関する安全管理組織