○東京農工大学における研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程
| (平成27年4月1日教規程第23号) |
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第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、東京農工大学(以下「本学」という。)における研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応について必要な事項を定める。
(定義)
第2条 この規程において「不正行為」とは、次の各号に掲げる行為をいう。
(1) 特定不正行為 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことにより、投稿論文など発表された研究成果に示された以下の行為をいう。
ア 捏造(fabrication) 存在しないデータ又は研究・実験結果等を作成する行為
イ 改ざん(falsification) 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ又は研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為
ウ 盗用(plagiarism) 他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語(当該研究者特有の用語に限る。)を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為
(2) 不正とみなされる行為 特定不正行為以外の研究活動上の不適切な行為であって、以下に掲げるもののうち、研究者としての行動規範及び社会通念に照らして研究倫理からの逸脱の程度が甚だしいものをいう。
ア 二重投稿 同一内容とみなされる研究論文を複数作成して異なる雑誌等に発表する行為(投稿先学術雑誌等の規定を満たし、二重投稿と解されない状態となったものは除く。)
イ 不適切なオーサシップ 研究論文の著者リストにおいて、著者としての資格を有しない者を挙げ、又は著者としての資格を有する者を除外する行為
ウ 前各号以外の研究活動上の不適切な行為
2 この規程において「研究者等」とは、本学に雇用されて研究活動に従事している者並びに本学の施設及び設備を利用して研究に携わる者をいう。
3 この規程において「研究データ」とは、実験・観察記録ノート、実験データその他の研究資料等、研究に基づき外部に発表する論文及び研究成果(以下「研究成果」という。)を導出するために必要とした各種データ等のことをいう。
4 この規程において「部局等」とは、国立大学法人東京農工大学組織運営規則第3条第1項、第3条の2第1項、第4条第2項、第5条第1項、第5条の2第1項並びに第6条第1項及び第3項に定める組織及び施設をいう。
(研究者等の責務)
第3条 研究者等は、高い倫理観を保持し、研究活動上の不正行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 研究者等は、不正行為を防止するために学内規則等を遵守し、また、第5条から第7条までに規定する者の指示に従わなければならない。
3 研究者等は、採用後速やかに本学が指定する研究者倫理に関する教育(以下「研究倫理教育」という。)を必ず受け、修了しなければならず、また、その後も定期的に研究倫理教育を受講しなければならない。
4 研究者等は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、研究データを第37条に規定する期間適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。
[第37条]
(研究責任者の遵守事項)
第4条 研究室等の責任者、競争的研究資金における補助金等の研究代表者、共同研究の研究担当者及び研究プロジェクトの責任者となる研究者(以下「研究責任者」という。)は、健全な研究活動を保持し、かつ、研究不正が起こらない研究環境を形成するため、次の各号に定める事項を遵守するものとする。
(1) 研究責任者は、各研究室等の研究施設内において、研究データ及び実験手続などに関し、適宜確認すること。
(2) 研究責任者は、研究者に対して、研究データは、個人の私的研究記録ではなく、国立大学法人東京農工大学研究開発成果としての有体物の取扱いに関する規程に定める原則として本学に帰属する有体物として、研究者管理の研究データを管理すべきである旨の意識を持たせ適切に管理させるとともに、研究データの記載の方法に関し指導を徹底すること。
(3) 研究責任者は、研究者に対して、研究データなどを記録した紙及び電子記録媒体などは、論文など成果物の発表後も第37条に規定する期間保存・管理し、他の研究者からの問い合わせ及び調査照会などにも対応できるよう指導を徹底すること。
[第37条]
(4) 論文を共同で発表するときには、責任著者と共著者との間で責任の分担を確認すること。
第2章 不正防止のための体制
(最高管理責任者)
第5条 最高管理責任者は、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、法人全体を統括する権限と責任を有する者とし、学長をもって充てる。
2 最高管理責任者は、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じるものとする。
(総括責任者)
第6条 本学における研究不正に関する申し立ての処理を総括するため、総括責任者を置く。
2 総括責任者は、国立大学法人東京農工大学研究倫理委員会(以下「研究倫理委員会」)委員長をもって充てる。
3 総括責任者は、最高管理責任者を補佐し、研究活動等の不正防止について本学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ。
(研究倫理教育責任者)
第7条 本学における研究倫理教育を実施するため、研究倫理教育責任者を置く。
2 研究倫理教育責任者は、研究倫理委員会副委員長をもって充てる。
(研究倫理教育の実施)
第8条 研究倫理教育責任者は、不正行為を防止するため、研究者等に研究倫理教育を実施する。
2 研究倫理教育を実施するにあたっては、研究者等の職種又は業務実態に則した教育が受講できるよう留意する。
3 研究倫理教育責任者は、本学学生(学部学生及び大学院生)に対して、研究者倫理に関する規範意識を徹底していくため、研究倫理教育を実施する。
第3章 通報の受付
(通報窓口の設置)
第9条 不正行為に関する通報又は相談に対応するための通報窓口を研究推進部研究総括・リスクマネジメント課に設置し、担当者を置く。
2 通報窓口は、客観性及び透明性を向上する観点から、外部の機関(第三者)へ業務委託をすることができる。
(通報の取扱い)
第10条 研究活動上の不正行為があると思料する者は、何人も通報窓口を通じ、通報を行うことができる。
2 通報は、電子メール、書面、電話、ファクシミリ又は面談によるものとする。
3 通報は、原則として通報者の氏名、所属、住所等及び不正行為の存在が客観的な根拠とともに示されるもののみを受け付ける。ただし、通報者は、その後の調査において氏名の秘匿を希望することができるものとする。この場合において、当該通報者に対するこの規程に定める通知及び報告は、通報窓口を通じて行うものとする。
4 通報窓口は、匿名による通報があったときは、不正行為の存在が客観的な根拠とともに示されるもののみ受け付けるものとする。この場合において、当該通報者に対するこの規程に定める通知及び報告は、行わないものとする。
5 通報窓口は、通報を受け付けたときには、速やかに、最高管理責任者及び統括責任者に報告するものとする。
6 報道機関、所管官庁等及び学会等の研究コミュニティ等の外部機関から不正行為の疑いが指摘されたときは、第4項に規定する通報を受け付けたものとして取扱うものとする。
7 インターネット上に本学に係る不正行為の疑いが掲載されていることを本学が独自に把握した場合は、第4項に規定する通報を受け付けたものとして取扱うものとする。
8 本学以外の機関に係る内容の通報があった場合には、当該機関へ回付するものとする。
(通報の相談)
第11条 研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者で、通報の是非又は手続について疑問がある者は、通報窓口に対して相談をすることができる。
2 通報の意思を明示しない相談があったときは、通報窓口は、その内容を確認して相当の理由があると認めたときは、相談者に対して通報の意思の有無を確認するものとする。
3 相談の内容が、研究活動上の不正行為が行われようとしている、又は研究活動上の不正行為を求められている等であるときは、通報窓口は、最高管理責任者及び統括責任者に報告するものとする。
4 前項の報告があったときは、最高管理責任者又は統括責任者は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。
(通報窓口担当者の義務)
第12条 通報窓口の担当者は、通報又は相談を受け付けるに際し、面談による場合は個室にて実施し、電子メール、書面、電話又はファクシミリ等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど、適切な方法で実施しなければならない。
2 前項、次条及び第14条の規定は、通報の相談について準用する。
第4章 関係者の取扱い
(秘密保護義務)
第13条 この規程に定める業務に携わるすべての者は、業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。本学の役員又は職員等でなくなった後も、同様とする。
2 最高管理責任者及び総括責任者は、通報内容及び通報者の秘密を守るとともに、通報についての調査結果の公表まで、通報者及び被通報者の意に反して調査の関係者以外に漏洩しないよう、関係者の秘密保持を徹底する。
3 最高管理責任者又は総括責任者は、当該通報に係る事案が外部に漏洩した場合は、通報者及び被通報者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事実について公に説明することができる。ただし、通報者又は被通報者の責に帰すべき事由により漏洩したときは、当該者の了解は不要とする。
4 最高管理責任者、総括責任者又はその他の関係者は、通報者、被通報者、調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは、通報者、被通報者、調査協力者及び関係者等の人権、名誉及びプライパシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。
(通報者及び被通報者の保護)
第14条 本学に所属する全ての者は、通報をしたことを理由として、当該通報者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 最高管理責任者は、通報者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、国立大学法人東京農工大学職員就業規則及び国立大学法人東京農工大学職員懲戒規程に従って、その者に対して処分を課すことができる。
3 最高管理責任者は、悪意に基づく通報であることが判明しない限り、単に通報したことを理由に当該通報者に対して解雇、配置換、懲戒処分、降格、減給その他当該通報者に不利益な措置等を行ってはならない。
4 本学に所属する全ての者は、相当な理由なしに、単に通報がなされたことのみをもって、当該被通報者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
5 最高管理責任者は、相当な理由なしに、被通報者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、国立大学法人東京農工大学職員就業規則及び国立大学法人東京農工大学職員懲戒規程に従って、その者に対して処分を課すことができる。
6 最高管理責任者は、相当な理由なしに、単に通報がなされたことのみをもって、当該被通報者の研究活動の全面的な禁止、解雇、配置換、懲戒処分、降格、減給その他当該被通報者に不利益な措置等を行ってはならない。
(悪意に基づく通報)
第15条 第19条に規定する調査委員会が、調査の過程において当該通報が悪意に基づくものであったと判断した場合は、直ちに調査を中止し、当該通報を悪意に基づくものと認定のうえ、最高管理責任者に報告しなければならない。
[第19条]
2 調査の結果、悪意に基づく通報であると認定された場合は、最高管理責任者は、必要に応じて、当該通報者の氏名の公表、懲戒処分及び刑事告発等適正な措置を講じることができる。
3 最高管理責任者は、前項の処分が課せられたときは、当該事案に係る研究費等の資金配分機関及び関係省庁(以下「関係機関等」という。)に対して、その措置の内容等を通知する。
第5章 不正行為の調査
(予備調査の実施)
第16条 第10条の規定に基づく通報があった場合又は総括責任者がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は、総括責任者は予備調査委員会を設置し、研究不正等の疑義が生じている研究分野の複数の関係する専門家等の協力を得て、速やかに予備調査を実施しなければならない。
[第10条]
2 予備調査委員会は、総括責任者が指名する3名以上の委員によって組織する。ただし、委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係がない者とする。
3 予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る研究データ等を保全する措置をとることができる。
(予備調査の方法)
第17条 予備調査委員会は、通報された行為が行われた可能性、通報の際に示された科学的理由の論理性、通報内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について、予備調査を行う。
2 通報がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた通報についての予備調査を行う場合は、取り下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。
(本調査の決定等)
第18条 予備調査委員会は、通報を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を最高管理責任者及び総括責任者に報告する。
2 総括責任者は、予備調査結果を踏まえ、最高管理責任者と協議の上、本調査を行うか否かを直ちに決定する。
3 総括責任者は、本調査を実施することを決定したときは、通報者及び被通報者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。
4 総括責任者は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して通報者に通知する。この場合には、関係機関等又は通報者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存するものとする。
5 総括責任者は、本調査を実施することを決定したときは、関係機関等に本調査を行う旨を報告するものとする。
(研究者倫理調査委員会の設置)
第19条 総括責任者は、前条において本調査の実施を決定したときは、研究倫理委員会のもとに研究者倫理調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置し、速やかに事実関係を調査させなければならない。
2 調査委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。ただし、委員の半数以上は本学に属さない外部有識者とする。
(1) 本学役員、教育職員、事務職員の中から総括責任者が指名する者 若干名
(2) 弁護士、公認会計士、研究経験を持つ者等、総括責任者が指名する学外の有識者若干名
3 前項の委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係がない者とする。
4 委員会に委員長を置き、研究倫理委員会委員長をもって充てる。ただし、研究倫理委員会委員長が通報者及び被通報者と直接の利害関係者である場合は、第2項に規定する者の中から選出するものとする。
5 総括責任者は調査委員会を組織した後、被通報者及び通報者に対し、委員の氏名及び所属等を含む調査委員会構成を通知することとする。
6 被通報者及び通報者は、調査委員会構成の公正性に問題があると判断した場合、当該構成の通知日から7日以内であれば異議の申立てができる。総括責任者はその内容を確認し、妥当と認めた場合、調査委員会の委員を変更することができるものとし、その旨を被通報者及び通報者に通知する。
(本調査の実施)
第20条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。
2 調査委員会は、通報において指摘された当該研究に係る研究データの精査及び関係者のヒアリング等の方法により、不正行為について、事実の有無、その内容、関与した者及びその関与の程度等を調査するものとする。また、内容により被通報者の他事案における不正行為の有無について調査すべきと思料される場合は、通報に係る事案以外の調査も行うものとする。
3 調査委員会は、被通報者及びその他当該通報に係る事案に関係する者に対し、関係資料の提出、事実の証明、事情聴取及びその他調査に必要な事項を求めることができる。
4 調査委員会は、被通報者による弁明の機会を設けなければならない。
5 調査委員会は、被通報者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被通報者から再実験等の申し出があり、調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
6 調査委員会は、関係する部局等の長に対し、調査協力等適切な対応を指示することができる。
7 通報者、被通報者及びその他当該通報に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるなど、調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
(証拠の保全)
第21条 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。
2 通報された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学でないときは、調査委員会は、通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
(調査の中間報告)
第22条 調査委員会は、本調査の終了前であっても、関係機関等の求めに応じ、本調査の中間報告を当該関係機関等に提出するものとする。
(調査における研究又は技術上の情報の保護)
第23条 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう、十分記慮するものとする。
(不正行為の疑惑への説明責任)
第24条 調査委員会の本調査において、被通報者が通報された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続にのっとって行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の場合において、再実験等を必要とするときは、第20条第5項の保障を与えなければならない。
[第20条第5項]
第6章 不正行為の認定
(認定の手続)
第25条 調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ、不正行為が行われたか否か、不正行為と認定された場合はその内容及び悪質性、不正行為に関与した者とその関与の度合、不正行為と認定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割、その他必要な事項を認定する。
2 調査委員会は、150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して最高管理責任者に申し出て、その承認を得るものとする。
3 最高管理責任者は、前項の承認をした場合には、関係機関等へ報告するものとする。
4 調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて通報が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行うものとする。
5 調査委員会は、前項の認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければならない。
6 調査委員会は、第1項及び第4項に定める認定が終了したときは、直ちに、最高管理責任者に報告しなければならない。
(認定の方法)
第26条 調査委員会は、通報者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言又は被通報者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、不正行為か否かの認定を行うものとする。
2 調査委員会は、被通報者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。
3 調査委員会は、被通報者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。研究データ及び関係書類等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素の不足により、被通報者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。
(調査結果の通知及び報告)
第27条 最高管理責任者は、速やかに、調査結果(認定を含む。)を通報者、被通報者及び被通報者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。
2 研究活動上の不正行為に関与したと認定された者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。
3 最高管理責任者は、前2項の通知に加えて、調査結果を関係機関等に報告するものとする。
4 最高管理責任者は、悪意に基づく通報との認定があった場合において、通報者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関にも通知するものとする。
(不服申立て)
第28条 研究活動上の不正行為に関与したと認定された者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、調査委員会に対して不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 通報が悪意に基づくものと認定された通報者(前項の規定による不服申立ての審議の段階で悪意に基づく通報と認定された者を含む。)は、その認定について、前項の例により、不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は、調査委員会が行う。最高管理責任者は、新たに専門性を要する判断が必要となる場合は、調査委員会の委員の交代若しくは追加し、又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし、調査委員会構成の変更等を行う相当の理由がないと認めるときは、この限りでない。
4 前項に規定する新たな委員は、第19条第2項の規定に準じて指名する。
[第19条第2項]
5 調査委員会は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに、最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。その際、その不服申立てが当該事案の引き延ばし又は認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと調査委員会が判断した場合は、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。
6 調査委員会は、不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には、直ちに、最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
7 最高管理責任者は、第1項の規定による不服申立てがあったときは通報者に対して通知し、第2項の規定による不服申立てがあったときは被通報者に対して通知するものとする。また、関係機関等に通知する。前2項の規定による不服申立ての却下又は再調査の決定をしたときも同様とする。
(再調査)
第29条 前条の規定に基づく不服申立てについて、再調査を実施する決定をした場合には、調査委員会は、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め、その他当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
2 前項に規定する不服申立人からの協力が得られない場合には、調査委員会は、再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。その場合には、調査委員会は、直ちに最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
3 調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに最高管理責任者に報告するものとする。ただし、50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合は、その理由及び決定予定日を付して最高管理責任者に申し出て、その承認を得るものとする。
4 最高管理責任者は、前2項の報告に基づき、速やかに、再調査の結果を通報者、被通報者及び被通報者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。
5 第27条第2項から第4項までの規定は、再調査の結果について準用する。
(調査結果の公表)
第30条 最高管理責任者は、研究活動上の不正行為が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに、調査結果を公表するものとする。ただし、第35条に規定する処分内容等の通知と同時に公表することができる。
[第35条]
2 前項の公表内容は、原則、次の各号に掲げる事項とし、当該事案の社会的影響、研究不正の軽重、通報者又はその関係者の保護等を勘案して決定するものとする。
(1) 研究活動上の不正行為に関与した者の氏名及び所属
(2) 研究活動上の不正行為の内容
(3) 本学が公表時までに行った措置の内容
(4) 調査委員会委員の氏名及び所属
(5) 調査の方法・手順
(6) その他総括責任者が必要と認める事項
3 前項の規定にかかわらず、研究活動上の不正行為があったと認定された論文等が、通報がなされる前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
4 研究活動上の不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には、原則として、調査結果は公表しない。ただし、当該事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表するものとする。
5 前項ただし書きの公表における公表内容は、研究活動上の不正行為がなかったこと、論文等に故意によるものではない誤りがあったこと、及び第2項を準用するものとする。
6 最高管理責任者は、悪意に基づく通報が行われたとの認定がなされた場合には、通報者の氏名・所属を公表することができる。
7 公表の手段は、別に定める。
第7章 措置及び処分
(本調査中における一時的措置)
第31条 最高管理責任者は、本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被通報者に対して、通報された研究費等の一時的な支出停止等の必要な措置を講じることができる。
2 最高管理責任者は、関係機関等から、被通報者の該当する研究費等の支出停止等を命じられた場合には、それに応じた措置を講じるものとする。
(研究費等の使用中止)
第32条 最高管理責任者は、研究活動上の不正行為に関与したと認定された者、研究活動上の不正行為が認定された論文等の内容に責任を負う者として認定された者及び研究費等の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、直ちに研究費等の使用中止を命ずるものとする。
(論文等の取下げ等の勧告)
第33条 最高管理責任者は、被認定者に対して、研究活動上の不正行為と認定された論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を最高管理責任者に行わなければならない。
3 最高管理責任者は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。
(措置の解除等)
第34条 最高管理責任者は、研究活動上の不正行為が行われなかったものと認定された場合は、本調査に際してとった研究費等の支出停止等の措置を解除するものとする。証拠保全の措置については、不服申立てがないまま申立期聞が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後、速やかに解除する。
2 最高管理責任者は、研究活動上の不正行為を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じるものとする。
(処分)
第35条 最高管理責任者は、本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合は、当該研究活動上の不正行為に関与した者に対して、法令、国立大学法人東京農工大学職員就業規則及び国立大学法人東京農工大学職員懲戒規程に従って、処分を課すものとする。
2 最高管理責任者は、前項の処分が課されたときは、関係機関等に対して、その処分の内容等を通知する。
(是正措置等)
第36条 研究倫理委員会は、本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合には、最高管理責任者に対し、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとることを勧告するものとする。
2 最高管理責任者は、前項の勧告に基づき、関係する部局等の長に対し、是正措置等をとることを命ずる。また、必要に応じて、本学全体における是正措置等をとるものとする。
3 最高管理責任者は、前項の規定に基づいてとった是正措置等の内容を関係機関等に対して報告するものとする。
第8章 その他
(研究データの保存期間)
第37条 研究データの保存期間は、研究成果の発表時点から原則10年とする。
2 前項の規定にかかわらず、研究分野の特性により、10年を超えた保存期間の設定が必要な場合は、研究成果の発表時点で研究者等が自ら期間を定めることができる。
3 第1項の規定にかかわらず、保存する研究データの中に、法令等により保存期間が規定されるものがある場合には、当該データについてはその法令等の定める期間に合わせて保存期間を定めることとする。ただし、法令等の保存期間が10年未満で期間満了後の即時破棄が明記されていない場合には、第1項の期間に準じて保存期間を定めることとする。
4 第1項の規定にかかわらず、外部から研究データを受領するにあたり、データの保存期間に関する契約又は定めが別途ある場合は、当該契約等で定められた期間に合わせて保存期間を定めることとする。
(関係委員会等の連携)
第38条 通報の内容や、調査の結果により、競争的資金等の不正に係る調査委員会、懲戒に関する委員会等と適宜連携するものとする。
(事務)
第39条 この規程に関する事務は、地区事務部及び関係部署の協力を得て、研究推進部研究総括・リスクマネジメント課で行う。
(雑則)
第40条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、別に定める。
附 則
1 この規程は、平成27年4月1日から施行する。
2 国立大学法人東京農工大学研究上の不正に関する取扱い要項(平成18年4月1日制定)は、廃止する。
附 則(平成27年7月1日規程第47号)
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この規程は、平成27年7月1日から施行する。
附 則(平成28年4月1日規程第6号)
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この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成30年4月1日規程第12号)
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この規程は、平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成31年4月1日規程第19号)
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この規程は、平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和元年6月27日規程第9号)
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この規程は、令和元年6月27日から施行し、平成31年4月1日より適用する。
附 則(令和元年8月1日教規程第10号)
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この規程は、令和元年8月1日から施行する。
附 則(令和3年4月1日規程第15号)
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この規程は、令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和4年4月1日教規程第7号)
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この規程は、令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和5年1月1日規則第11号)
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この規則は、令和5年1月1日から施行する。
附 則(令和5年4月19日教規程第22号)
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この規程は、令和5年4月19日から施行し、令和5年4月1日から適用する。
附 則(令和5年7月1日規程第33号)
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この規程は、令和5年7月1日から施行する。
附 則(令和7年7月1日規則第5号)
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この規則は、令和7年7月1日から施行する。