研究項目A02
「東アジアのエアロゾル・大気汚染物質の輸送と広域分布の解明」

分布図

計画研究の概要

計画研究 A02-P05
「ライダーおよび地上モニタリングネットワークによるエアロゾル動態解明」
エアロゾルの植物影響、健康影響の基礎データとなる、東アジア地域のエアロゾル濃度分布を数時間から年々変化までの様々な時間スケールで把握することを目的として、国立環境研を中心に東アジアに展開しているライダーネットワークおよび地上モニタリング装置による観測を行う。また、大気汚染モニタリング局等の既存データを活用する。これらの観測と高分解能地域化学輸送モデルを用いてエアロゾル分布と動態の解析を行ない、地域毎のエアロゾル種、エアロゾル濃度の気候学的な特徴、イベント毎のエアロゾル濃度変化などを明らかにして、植物影響、健康影響研究と連携する。特に気象条件に依存する高い時間分解能のエアロゾル濃度分布の変化に注目し、植物影響、健康影響の指標となるパラメータと時間スケールを検討する。
計画研究 A02-P06
「健康影響が懸念されるPM2.5粒子状物質のわが国風上域での動態把握」
国内起源の大気中の粒子状(エアロゾル)汚染物質濃度は、数々の規制措置の実施により、今後次第に低下していくと期待されるが、これに対して東アジア起源のエアロゾル発生量は増大することが予想され、偏西風帯の下流域にあるわが国においては大気中のエアロゾル濃度を底上げする可能性がある。また沖縄辺戸岬や長崎県五島列島福江島などわが国の風上に位置する地点においては、春季に盛んとなる輸送イベント時にはPM2.5粒子状物質が100ugm-3を超える濃度で観測される場合があるなど、短期的な健康影響に対しても検討を開始すべき状況が生じている。このため、本研究では、人体の健康に影響があると考えられるPM2.5粒子状物質や粒子状有機物(主にPAH)、重金属類を対象として、東シナ海沿岸に位置する長崎県福江島、沖縄辺戸岬および九州北部の都市域において地上観測を実施し、季節変動および日々変動といった濃度レベル、空間分布、長距離輸送パターン、輸送中の変質プロセス等の知見を得る。
計画研究 A02-P07
「東アジアから輸送されるエアロゾル化学成分の航空機観測」
東アジアに由来するエアロゾルの長距離輸送の途上における化学変化のプロセスと、輸送後のエアロゾルが植物や人間の健康に及ぼす影響の解明は喫緊の課題である。本研究では、全体課題の主目的である東アジアに由来するエアロゾルの健康や植物への影響の解明のため、東アジアに由来して、我が国に輸送されるエアロゾルの化学成分を網羅的に調べ、我が国にどのようなエアロゾルがどのような気象条件のときにどのくらい飛来するのかを、アジア大陸と我が国の間の海洋上空で捉え、分析し、基礎データとしてA03研究項目、A04研究項目の各研究グループに提供しようとするものである。輸送途上の化学変化のプロセス解明も重要な研究ターゲットである。