*9 知的な自立は目に見えないものなので,例として食事を考えてみます.私たちは赤ちゃんの頃,保護者に食事を作ってもらい,食事の時間も完全に依存しています.しかし自立するにつれ,食材から自分で買い集め,適切に調理することで,自分の食事を準備できるようになります.さらに,お腹が空いている人がいれば,その人のための食事を提供できるようになります.このように自らはもちろんのこと,他者も助ける力を持っている状態を「自立」したものと考えています.知的な意味では,大学低学年までは,教員が準備した教材や内容を学び,学ぶ時間も時間割に従うだけです.しかし,知的に自立するにつれ,自分に必要な情報を自ら集め,取捨選択し,自分で実験スケジュールを組んで必要な知識を得られるようになります.さらに,何かの問題に困っている人がいれば,その人に必要な知恵を提供することができるようになります.このような知的に自立した人材育成を目指すのが,当研究室の教育ビジョンです.当研究室で学ぶ学生にはぜひとも,この「知的な自立」を目指して修了してもらいたいと考えています.