Last Update: 2019-01-11

東京農工大学大学院 工学府 機械システム工学専攻                                        日本語/English




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RESEACH

超音速マイクロジェット(SUPERSONIC MICROJET)

私たちは,超音速マイクロジェットが生じる現象を発見しました.このジェットは集束形状をもち(図1参照),かつ最高速度は850 m/s(Mach 2以上,直径10 µm以下)にまで達します.マイクロサイズでありながらこの速度に達するのは特異なことです.そこで,このジェットについて研究を行い,流体力学的メカニズムを解明しました.このマイクロジェットは再現性がよいため,針を必要としない注射器やマイクロデバイス洗浄装置としての応用の可能性があり,各分野から注目を集めています.


図1 超音速マイクロジェットの様子(Tagawa et al., Physical Review X, 2012 より). 50 µmの細管から生成されたジェットは,340 m/s以上の超音速で進みます.太さは蚊の口吻よりも小さいため,様々な応用可能性があります.

高粘度マイクロジェット(VISCOUS LIQUID MICROJET)

私たちは,高粘度(水の10,000倍の粘度)の液体をジェットとして射出可能な装置を開発しました(図2)。本装置は機構が非常に簡単であるため,既存デバイスの小型化や低コスト化が見込まれます。今回の成果により,従来技術では困難であった高粘度液体の射出が可能になり,インクジェット技術をはじめ,無針注射技術,金属配線技術など様々な分野での応用が期待されます.この成果は新技術説明会およびイノベーションジャパン等で発表しています(ポスター資料はこちらから).


図2 高粘度マイクロジェット射出装置(左)と高粘度液体マイクロジェット(女性用マニキュア)の塗布例(右,ナックイメージテクノロジー様ご協力)

浮遊液滴(LEVITATING DROPS)

私たちは,液滴が移動面上を浮遊する現象を発見しました(動画1, 2).これはインクジェットプリントや消火スプレーなどで生じうる重要な現象です.液滴と移動壁面の間には厚さ数マイクロの薄い空気膜が存在しており,この膜内の流れが浮遊をもたらしています.そこで薄膜の形状をサブマイクロ精度で三次元計測し,浮遊現象のメカニズムを解明しています.この現象は工学的に重要なのはもちろん,流体力学が生み出す不思議な現象でもあります.


動画1 浮遊液滴に関する動画(Saito et al., APS/DFD 2014, Gallery of Fluid Motionより).浮遊液滴の美しい動画をお楽しみ下さい.

動画2 浮遊液滴に関する動画(Sawaguchi, Hama, et al., Droplets2015 Best Video Award)

乱流中の粒子・気泡(PARTICLES IN TURBULENCE)

乱流中に分散する粒子はクラスターを形成します.私たちは,このクラスターをラグランジュ的に解析するため,ボロノイ線図を利用した独創的な手法を開発しました(図3).この手法によってオイラー的なクラスター解析だけでなく,従来の手法では不可能であったラグランジュ的解析を行うことが可能になりました.これは乱流のラグランジュ的解析の今後の発展に大きく寄与するものです.また,4つのカメラを用いた3次元計測装置を構築し,動的格子乱流中のマイクロバブルの統計的振る舞いを測定しました.これにより乱流中の粒子のエネルギーだけなく,運動量の議論も可能になりました.この成果は高く評価され,日本流体力学会竜門賞(2015)を受賞しました.

図3 ボロノイ線図(3次元)の例 (Tagawa et al., Journal of Fluid Mechanics, 2012より).

単一気泡の上昇プロセス(SINGLE BUBBLE IN WATER)

静止流体中を上昇するミリサイズの気泡はジグザグ運動やらせん運動といった,3次元運動を行います.この現象は水質浄化装置や化学プラント等で工業的によく見られる現象で,解明が望まれていました. 私たちは2つの高速度カメラを同期させ,垂直移動ステージにて気泡を追跡することにより,気泡の軌跡と形状を3次元的に詳細に観測しました(図4).さらに,微少量の界面活性剤を加えることにより,気泡表面の境界条件を変化させて実験を行いました.これにより,すべり速度ありのフリースリップ条件とすべり速度なしのノンスリップ条件の中間的な境界条件における気泡の振る舞いを初めて明らかにしました.さらに,気泡軌跡と形状から気泡にかかる力を算出し,活性剤溶液中特有の現象を発見しました.


図4 (a)3次元計測装置の概要(b)直径2 mmの気泡の連続撮影画像
(Tagawa et al., Journal of Fluid Mechanics, 2014より).