植物は病原菌をどのようにして認識し、防御しているのか
植物は、ヒトや動物と同様に病原菌に侵され、侵された細胞や組織が壊死し、最終的に枯死することがあります。しかし、植物は常に病原菌にさらされていても、必ずしも病気に罹るとは限りません。植物もヒトや動物の免疫反応と類似した病気に対する抵抗性機構を持っていると考えられています。しかし、植物がどのように病原菌を認識し、その侵略から自己を保護しているのか、その機構は、植物全般に共通で同じような仕組みなのか、品種により異なっているのかなど、その多くは明らかになっていません。そのような病気に対する抵抗性の機構が明らかになれば、病気に強い作物や樹木の育種が可能となり、食糧の安定供給の面からも環境保全の面からも重要なことと考えられます。我々は、そうした植物の病害抵抗性機構を分子生物学的、生化学的に明らかにすること、逆に病原微生物が単にものを腐敗させる微生物と何処が本質的に異なっているのかを明らかにすることを目的に研究を行っています。ただ、病気で一部がすぐ枯れるような植物は弱いのではなく、むしろ被害を最小限に抑えて、それ以上の拡大を抑えるていると考えられています。病原菌も意外と節操があって、特定の植物あるいは品種しか侵さないものも数多いんです。身近にある植物をそういった目で見直してみようと考えています。