保存安定性に優れたイネばか苗用病生物防除資材の探索
Screening of biocontrol agents for rice ‘Bakanae’ disease which carry durability
加藤亮宏寺岡 徹有江 力
Kato A, Teraoka T, Arie T

Abstract

バリダマイシンA(VMA)のトマト茎葉部への散布によって,土壌病害である萎凋病の発病が抑制されると共に,全身獲得抵抗性(SAR)関連分子マーカーの発現が誘導される熱帯や亜熱帯に属し世界的な米の生産地である東南アジア地域での使用を前提にとして, 耐熱性・耐乾燥性に優れたばか苗病の生物防除資材の探索をおこなった. 分離源として, 2010年2月にベトナム社会主義共和国南部のメコンデルタ地域で採集したイネ植物体や水田土壌を用いた. 芽胞形成菌を含めた保存安定性の高い細菌を選抜するために80℃, 10分間の加熱処理を行ってから分離した場合, 植物体から40菌株, 土壌から27菌株を得た. また, 加熱処理を行わなかった場合, 植物体から14菌株, 土壌からは25菌株が分離された. これら合計106菌株について, 人工汚染イネ種子(短銀坊主)を用いて, 細菌懸濁液への浸漬による催芽時種子処理法によって小スケールで防除活性を調査した結果, 防除価60以上の比較的高い防除効果を示した4菌株を選抜した. このうち2菌株はBacillus属であり, 37℃では10週経過後も高い生存率を維持していた.


平成23年度日本植物病理学会関東部会(2011年9月、つくば市)口頭発表