Abstract
Fusarium oxysporumは小型分生子,大型分生子,厚膜胞子,また,振とう培養時にはbud cellなど,多様な無性胞子を形成する.本菌は宿主感染後,導管内で胞子が移動することによって急速に全身に病気が進展する.そのため,F. oxysporumの胞子形成能が,病原性に関与することが想定された.abaA,はAspegillus属等の胞子形成時に制御因子として働く遺伝子である.今回F. oxysporum において,abaAホモログFoabaAを同定した.FoabaAはPSB培地の振とう培養条件および静置培養条件で発現していた.二回相同組換えによって得られたFoabaA破壊株はPSA培地上での菌糸の成長速度は親株と同等であったが,小型分生子,大型分生子,bud cellを形成しなかった.よって,F. oxysporumの胞子形成能にFoabaAが関与していることが示唆された. FoabaA破壊株では、トマトに対する病原性が著しく低下した.
平成21年度日本植物病理学会関東部会(2009年9月、藤沢市)口頭発表