バリダマイシンA茎葉散布によるトマト萎凋病抑制に及ぼす光波長の影響
Effects of light wavelength on the control of tomato wilt disease by validamycin A
山口洋平寺岡 徹有江 力
Yamaguchi Y, Teraoka T, Arie T

Abstract

バリダマイシンA(VMA)のトマト茎葉への散布は,土壌病害である萎凋病の発病を抑制するとともに,全身獲得抵抗性(SAR)のマーカー分子であるサリチル酸(SA)産生やPR-タンパク質遺伝子の発現を誘導する.一方,VMAはトマトに生育抑制や組織壊死等の薬害を生じさせる場合がある.本研究では,インキュベーター内で光波長を変化させ,VMA(100 μg/ml)を葉茎散布したトマト(品種:Moneymaker)の生育,萎凋病抑制効果,葉組織中のSA量,薬害等に対する影響を調査した.試験区は,中心波長が610 nmの「赤A光」,660 nmの「赤B光」,450 nmの青色光と赤B光を混合した「赤青光」,青色光と544 nmの緑色光と赤A光を混合した「白色光」の4区を設定した.「赤青光」区でトマトの生育が最も良好で,萎凋病抑制効果も認められ、VMA散布後の葉組織中のSA濃度が高いにも関わらず,薬害が少なかった.このように,光環境の調節によってVMAのトマト萎凋病防除をより有効に活用できることが示唆された.


平成21年度日本植物病理学会関東部会(2009年9月、藤沢市)口頭発表