イネいもち病菌のFMI1遺伝子上流領域のプロモーター特性
Promoter Activity of the Upstream Region of FMI1 gene in Magnaporthe grisea
齋藤憲一郎三田地貴史有江 力・鎌倉高志*・寺岡 徹
Saitoh, K., Arie T., Kamakura, T. and Teraoka, T.

Abstract

イネいもち病菌のFMI1遺伝子はスクラーゼ様ドメインを持つタンパク質をコードしており,菌糸成長時と比較して,付着器形成過程の発芽管で高い発現を示した.FMI1破壊株は付着器形成率,侵入率,初期の侵入菌糸進展度の低下を引き起こした(石井ら,2003).本ORF上流約2.1 kbのプロモーター特性を調べるため,その下流に EGFPを連結し,本菌に導入したところ,導入株の菌糸では蛍光が観察されず,胞子から付着器形成過程において蛍光が認められた.葉鞘接種では,接種48時間後の侵入菌糸には蛍光が認められたものの,90時間後では蛍光が消失していた.この変化は,これまでに観察された侵入菌糸の成長様式(三田地ら,2005)と時間的に一致していた.すなわち,宿主内での定着に前後して起こる侵入菌糸の変化と符合して,本遺伝子の発現が変化していた.また,形質転換株に対するスクリーニングの迅速化,省力化のために,平板培養からの簡易DNA抽出法を確立した.
*東京理科大


平成17年度日本植物病理学会関東部会(2005年9月、府中市)口頭発表