トマト萎凋病菌レース 1 における非病原性決定ゲノム領域の解析
A Genomic Region of Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici Race 1 Contributory to Avirulence
中村亘宏・岡部明子・川部眞登*・寺岡 徹・有江 力
Nakamura, N., Okabe, A., Kawabe, M., Teraoka, T. and Arie, T

Abstract

トマト萎凋病菌(FOL)レース1(NBRC 6531)からREMI法で誘導した病原性変異株X-83は,レース1に本来抵抗性を示すトマト品種(I)に対して,非病原性遺伝子(AVR1)破壊時に予想される親和性反応を示した.プラスミドレスキュー法によって形質転換用プラスミド(pHYG-EGFP-EX)挿入部位周辺領域を解析した結果,NBRC 6531ゲノムにはプラスミド挿入部位を挟んでキュウリモザイクウイルス(CMV)の外被タンパク質RNAと高い相同性を示す配列(265 bp, 47 bp)がinverted repeatで存在した(中村ら,2004).この領域はレース1菌株のみに存在していた.NBRC 6531において同領域を二回相同組換えで破壊したところ,レース1抵抗性トマト品種に対する親和性反応が再現されたことから,この領域がFOLレース1 の非病原性決定領域(AVR1)であると判断された.一方,同領域を含む7 kbの領域をFOLレース2(880621a-1)に導入したが,レース2からレース1への病原性変異は認められなかった.
*現農環研


平成16年度日本植物病理学会関東部会(2004年9月、府中市)口頭発表