キャベツ萎黄病菌病原性欠損変異株のフザリン酸産生能について
Pathogenicity-Deficient Mutants of Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans
有本 裕*・森 翔吾**・根岸寛光**・吉田隆延***・寺岡 徹・有江 力
Arimoto, Y., Mori, S., Negishi, H., Yoshida, T., Teraoka, T., Arie, T.

Abstract

REMI10はキャベツ萎黄病菌F. oxysporum f. sp. conglutinans(Cong:1-1)からREMI法による形質転換で得られた病原性欠損変異株である(Yoshida et al. 1999)。また,Cong:1-2はCong:1-1継代中に出現した病原性欠損変異株である(野村・吉田 2000)。Cong:1-1およびCong:1-2のジャガイモ煎汁液体培地での培養濾液は,キャベツ(四季穫)の種子発芽阻害および,浸漬した切葉に原病徴と類似の黄化を引き起こしたが,REMI10培養濾液は発芽阻害や葉の黄化を引き起こさなかった。Cong:1-1およびCong:1-2の培養濾液からは,それぞれ,約40および240 mg/mlのフザリン酸が検出されたが,REMI10では検出されなかった.フザリン酸(20 mg/ml以上)は発芽阻害や葉の黄化を引き起こした。また,REMI10培養濾液にフザリン酸を添加すると発芽阻害や葉の黄化を引き起こした。従って,フザリン酸はキャベツ萎黄病の病徴発現関連因子であると考えられた。一方,Cong:1-1洗浄菌体懸濁水にキャベツ切葉を浸漬すると黄化が見られたが,Cong:1-2では黄化は生じなかった.
*理研・**東京農大農・***農環研


平成16年度日本植物病理学会関東部会(2004年9月、府中市)口頭発表