トマト品種「Micro-Tom」の持つ萎凋病菌Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici レース2 および3 に対する耐病性
Analysis of the disease tolerance that the tomato cv. Micro-Tom has to the tomato wilt fungus race 2 and race 3
岡本陽子・新宅ユリエ*・寺岡 徹有江 力
Okamoto Y., Shintaku Y, *Teraoka T., Arie, T.

Abstract

トマト品種「Micro-Tom」はトマト萎凋病菌(FOL )レース2 および3 に対する抵抗性遺伝子を持たない(I i-2 i-3 ). しかし,「Micro-Tom」にこれら菌株を接種してもほとんど発病しない(耐病性を示す).「Micro-Tom」とFOL 全レースに感受性の品種「Ponderosa」との交配後代(F1 およびF2)を用いた接種試験の結果, この耐病性は優性に遺伝しないこと, 耐病性と茎長(矮性)との間には相関がないことが判明した. 緑色蛍光タンパク質を導入したFOL レース2 を「Micro-Tom」に浸根接種し, 根部を蛍光顕微鏡観察したところ, レース2 に感受性の品種「桃太郎」と比較して,, 根表面に付着している胞子が少なく, 根部に侵入した場合でも表皮直下で伸展が停止し,維管束に到達していなかった. 以上から,「Micro-Tom」のFOL レース2 および3 に対する耐病性は矮性とは無関係であり, 根部での侵入や伸展の阻害が機作であることが推察された.


*むさし育種農場
日本植物病理学会平成23年度大会(2011年3月、府中市で開催予定でしたが開催が中止されました。発表はなされたものとされています。)ポスター発表