Abstract
病原性関連遺伝子の発現が窒素源の量により影響を受けることが,複数の病原菌において報告されており,またトマト茎部のグルタミン濃度が葉部より高いことも報告されている(有本ら,1998).以上から,茎部維管束内を進展し病害を引き起こすトマト萎凋病菌の病原性にグルタミンが影響を与えている事を想定,グルタミン存在下/非存在下で発現量に大きな差があるタンパク質をコードする遺伝子(FEKP1,FLRP1,FSUR1,FSCP1),およびFSUR1 の下流約60 bp に存在する遺伝子(FC6T1)の計5 つを対象に,遺伝子破壊によって病原性との関連を解析した.そのうちFC6T1破壊株は,トマトに対する病原性を完全に欠損したが,潅注接種によって野生株と同様に宿主トマトの根部から侵入し,維管束内を進展するため,FC6T1が発病機構の後期に関与していることが示唆された.なお,FC6T1は,Zn(2)-C6 fungal type DNA-binding domain を持つことから,真菌においてガラクトース代謝など幅広い代謝経路に大きく関わっていることが報告されているC6 transcriptional regulatory proteinのホモログをコードしていると考えられた.
共同研究内容
*中央農研・**理研
日本植物病理学会平成23年度大会(2011年3月、府中市で開催予定でしたが開催が中止されました。発表はなされたものとされています。)ポスター発表