Abstract
近年,ばか苗病菌Gibberella fujikuroi によるイネ種子の汚染が世界的な問題になっている.本病の防除には種子消毒が有効であり,化学農薬が一般的に使用されてきたが,近年,その代替として生物農薬に注目が集まっている.本研究では,東南アジア等のイネばか苗病多発地帯での生物防除技術の確立を目的に,熱や乾燥等に耐性を有する細菌を主なターゲットに資材探索を行った.その結果,ベトナムのイネ植物体から分離されたBacillus sp. のうち,1 株の懸濁液にばか苗病汚染イネ(品種:短銀坊主)種子を浸漬処理すると,発病(枯死や徒長)を抑制することを見いだした.King’s B 培地上でこの株をG. fujikuroi と対峙培養すると,生育阻止帯が形成され,抗菌性物質の産生が示唆された.この菌株をlipopeptide 等の抗菌物質の産生に適しているとされるMOLP培地で培養した菌体懸濁液は,より強いばか苗病発病抑制効果を示した.
*Cantho Univ.
日本植物病理学会平成23年度大会(2011年3月、府中市で開催予定でしたが開催が中止されました。発表はなされたものとされています。)ポスター発表