Abstract
イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)において非病原性遺伝子の変異は新レース出現と関連する.本研究はその機構の1つとして考えられる体細胞相同組換え(HR)の検出およびその特徴付けを目的として,EYFP遺伝子とブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子を融合したEYFP::BSDを用いて, 2つの非発現型相同組換え検出マーカーを構築し,それらの共導入を行った.得られた共導入株は一次代謝経路の阻害物質存在下において高いYFP蛍光出現率を示し,HR効率の向上がみられた.また熱ストレスや酸化ストレス誘導試薬存在下においてもHR効率の上昇が確認された.YFP蛍光は主に胞子から発芽した菌糸で観察され,菌糸においてHRが誘導されていることが示唆された.また接種によって形成された病斑部位から胞子を分離し,組換え率を算出したところ,各病斑ごとに差異はあるものの,HR率の向上がみられるものも存在した.組換え後のYFP::BSD領域の塩基配列を調査したところ,発現型配列の他に検出マーカーの混合配列が存在し,EYFP::BSD間において多様性が生じていることが示唆された.
*明大農 Meiji Univ.
日本植物病理学会平成22年度大会(2010年4月、京都市)ポスター発表 *学生優秀発表賞受賞*