Talaromyces sp. KNB-422によるイネばか苗病生物防除メカニズムの解析
Analysis of biocontrol mechanism by Talaromyces sp. KNB-422 against rice ‘Bakanae’ disease
加藤亮宏・三宅泰司*・竪石秀明*・寺岡 徹有江 力
Kato, A., Miyake, T.*, Tateishi, H.*, Teraoka, T., and Arie

Abstract

Talaromyces sp. KNB-422分生子懸濁液への浸漬処理によって,ばか苗病をはじめとする育苗期病害に対する生物防除効果が得られる(竪石, 2006).本菌の生物防除メカニズム解析のため,KNB-422とばか苗病菌にそれぞれ異なる蛍光タンパク質遺伝子を導入し(加藤, 2008), 両菌の相互作用の観察をおこなった.スライドカルチャーによる観察では, ばか苗病菌の菌糸細胞壁の崩壊や細胞質の蛍光の消滅が観察され, KNB-422が食菌作用を有することが示唆された. ばか苗病汚染イネ(品種:短銀坊主)種子にKNB-422分生子懸濁液を浸漬処理すると, 育苗期において籾殻表面特に発芽部位に多くのKNB-422の菌糸が観察され, KNB-422とばか苗病菌の菌糸が絡まっている様子が観察された.このようなイネでは子葉鞘へのばか苗病菌の伸展が減少し, 徒長等の病徴発現も抑えられたことから, KNB422の作用が発芽部位周辺におけるばか苗病菌に対する食菌であると考えられた.

(共同研究内容)


*クレハ Kureha


日本植物病理学会平成21年度大会(2009年3月、山形市)ポスター発表
*平成21年度学生優秀発表賞受賞*