Abstract
キャベツ萎黄病菌(Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans)Cong:1-1株とその継代培養中に病原性を欠損したCong:1-2株(吉田ら,1998)は遺伝的背景がほぼ同一であるため病原性機構解析研究モデルとして適していると考えられる.両菌体からそれぞれタンパク質を抽出し,2D-DIGE解析を行ったところ,発現量に差のあるスポットが複数検出され,これらのタンパク質がキャベツ萎黄病菌の病原性に関与している可能性が示された(岡部ら,2007).Cong:1-1で約4倍発現していた1スポットのESI-LC-MS分析で得られた部分アミノ酸配列はNCBIデータベース上の,F. oxysporum hyr1遺伝子によってコードされる推定peroxiredoxinと高い相同性を示した.Cong:1-1のhyr1は,1つのイントロン(85 bp.)を挟む2つのエクソン(15,501 bp,)からなり,171アミノ酸をコードしていた.二回相同組換えによって作出したhyr1破壊株の培地上での生育速度,菌叢性状等は親株Cong:1-1と同等であった.現在,hyr1破壊株の病原性をキャベツへの接種試験によって調査中である.
日本植物病理学会平成21年度大会(2009年3月、山形市)ポスター発表