Abstract

子のう菌Fusarium oxysporumの一分化型であるトマト萎凋病菌（f. sp. lycopercisi, FOL）には，宿主となる品種の違いによって区別される3つのレース（1~3）が存在し，病害防除のためには FOLおよびレースの特異的識別が必要である．日本産FOLのレースと系統関係に相関がある（Kawabe, 2004）ことに基づいて，植物体中のFOLレースを識別するPCR用特異プライマーセットを構築（Hirano, 2006），これは土壌抽出DNAを鋳型とした場合でも有効であった（Yoshioka, 2008）．しかし, このプライマーセットには，複数レースが混在する場合には使用できない等実用上の問題点があった．本研究では，リアルタイムPCR法によってさらに特異的かつ迅速・定量的なFOLおよびレースの識別技術確立を目指している．そこで，�@FOLに特有の病原性関連遺伝子領域SIX1（Rep, 2004），�ArDNA-IGS領域内のSNPs，�Bレース1に特有の非病原力遺伝子領域SIX4（Houterman, 2008），に基づく特異的プライマー/プローブセットを設計したところ，FOLおよび3レース識別への有効性が示唆された

（受託研究成果）