イネいもち病菌感染イネにおけるマンノース結合型イネレクチン(MRL)の発現量とその局在性
The Expression Level and Localization of Mannose-binding Rice Lectin(MRL)in Rice Plant Infected with Rice Blast Fungus, Magnaporthe grisea.
新城 亮荒木佑子有江 力寺岡 徹
Shinjo A, Araki Y, Arie T, Teraoka T, Teraoka T., Arie T

Abstract

レクチンは特定の糖鎖と結合することで細胞を凝集させたり糖類や糖タンパクを沈降させる性質がある.イネ茎 葉部より発見されたマンノース結合型イネレクチン(MRL)(寺岡,1990)は塩,乾燥,障害ストレスやアブシジン酸,ジャスモン酸処理でその遺伝子の発現が誘導され,MRLを過剰発現させた形質転換体イネではイネいもち病菌の感染も抑えられた.これらのことからMRLが病害抵抗性発現機構に関わっていることが想定されている.MRL遺伝子の発現はイネいもち病菌接種後12〜48時間で急激に誘導されるが,タンパク質レベルでは可溶性MRL量はほとんど変化せず, むしろ不溶化MRL量が増加していた.以前の結果から,感染部位周縁にMRLの集積が確認されていたが,接種イネ葉から可溶性MRLを溶出し,抗MRL抗体で免疫染色したところ,MRLの発色は抑えられていたが,やはり病班部およびその周辺にMRLの強い局在が観察された.この局在性とMRLの病害進展抑制との間に密接な関連性が推察された.


日本植物病理学会平成20年度大会(2008年4月、松江市)口頭発表