Abstract
イネの茎葉部(品種: 愛知旭)より発見されたMRL(寺岡, 1990)はイネいもち病菌胞子等の凝集活性を示し, その遺伝子の発現は塩,乾燥, 障害ストレスやアブシジン酸, ジャスモン酸等で誘導されることが既にわかっている (平野ら, 2000) . このことからMRLが病原体に対する異物認識や病害抵抗性発現機構における役割を担っているとの作業仮説を立て, それを実証する一環としてMRLの過剰発現株とRNAi機構を利用したMRL発現抑制株を愛知旭からアグロバクテリウム法により創出した. これら組換え体イネに, 愛知旭に対して親和性を示すいもち病菌を葉鞘接種したところ, MRL過剰発現株では野生株と比較して侵入菌糸の伸展度が抑えられた. 一方, MRL抑制株は野生株との明確な差異を示さなかった. また, 過剰発現株は噴霧接種において進展型病斑数の減少も認められた. 抗MRL抗体を用いて褐点化した病斑部を免疫染色したところ, 病班部とその周縁の機動細胞にMRLの局在が観察された.
*名古屋大農
日本植物病理学会平成19年度大会(2007年3月、宇都宮市)口頭発表