Abstract
バリダマイシンA(VMA)の茎葉散布は, トマトに全身獲得抵抗性(SAR)を誘導し, マーカーであるサリチル酸産生やPR-タンパク質遺伝子の発現を誘導する(Ishikawa et al., 2005). 一方, VMAは場合によってトマトに組織壊死等の薬害を生じさせる. VMAによって特に薬害が生じやすいNahG-トマトに, 異なる光強度下においてVMAを茎葉散布したところ, 強光下でより強い薬害が生じた. NahG-トマトでは, VMAによって産生誘導されたサリチル酸がカテコールに変換蓄積され, 薬害の原因となると考えられる. 以上から, 光がトマトにおけるサリチル酸産生に影響を及ぼすことが示唆された. そこで, 異なる光強度下でトマト(品種:Moneymaker)にVMAを茎葉散布し, 葉組織中のサリチル酸量を測定した. その結果, 強光区(例:3200 lux)の方が弱光区(例:700 lux)よりも組織中のサリチル酸濃度が高くなることが明らかとなった. 現在, VMA茎葉散布によるトマト萎凋病防除効果に対する光強度の影響を調査中である.
*住友化学
**理研
日本植物病理学会平成19年度大会(2007年3月、宇都宮市)口頭発表