Abstract
Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans (FOC)が原因の病害として,キャベツ,カブ,コマツナ,チンゲンサイ,タアサイなどの萎黄病が報告されている.これら萎黄病菌は,全てキャベツに病原性を示すことからFOCと同定されてきたが,タアサイ萎黄病菌の病原性が既報のFOCとは異なることが報告された(外側,2006).そこで演者らは、様々なBrassica属作物から分離された萎黄病菌のrDNA IGS領域と交配型遺伝子MAT1-1の部分塩基配列を基にした分子系統解析および菌糸和合性群(VCG)解析を行なった.その結果,N-J法に基づいた両方の系統樹上で,Brassica oleracea L.(キャベツ)の萎黄病菌とBrassica rapa L.(カブ,コマツナ,チンゲンサイ,タアサイ)の萎黄病菌は全く異なるクラスターを形成した.加えて,両者は異なるVCGをそれぞれ1つ形成した.また,カブ萎黄病菌のキャベツに対する病原性は非常に弱かった.以上の結果から,B. rapaの萎黄病の病原菌はキャベツ萎黄病菌とは,遺伝的に異なることが明らかとなり,新たな分化型とすべき可能性が示唆された.(共同研究内容)
*みかど協和種苗
**静岡農試
***千葉農総研
****農環研
日本植物病理学会平成19年度大会(2007年3月、宇都宮市)口頭発表