Alternaria alternataに内在する2本鎖RNAが宿主に与える影響
Influence of endogenous double-stranded RNAs on phenotypic changes in Alternaria alternata.
○青木菜々子・森山裕充・児玉基一朗*・寺岡 徹有江 力・福原敏行
Aoki, N., Moriyama, H., Kodama, M.*, Teraoka, T., Arie, T., Fukuhara, T.:

Abstract

植物病原菌Alternaria alternata EGS35-193株(非病原性株)から4成分の2本鎖RNA (dsRNA) (L鎖3.6kbp, M1鎖2.6kbp, M2鎖2.5kbp, S鎖1.5kbp) が検出された。サイクロヘキシミド処理法により、これら内在性dsRNAの治癒菌株の作製を試みたところ、EGS35-193オリジナル菌株と比較して規則的な色素沈着や旺盛な気中菌糸など正常な成長を示す菌株が単離された。この治癒菌株では4成分すべてのdsRNA含量が10分の1程度に減少しており、さらにEGS35-193株中では他のdsRNA成分よりも高い含量を示したM2鎖が実質的に失われていた。(森山ら,平成18年度札幌大会)。L鎖dsRNAの配列を決定した結果、全長は3,567ntで3,447nt(1,149アミノ酸残基)に亘る1つのORFが存在し、Totiviridae属のRNA依存RNA合成酵素 (RdRp) との類似性が示された。さらにセンス鎖の3’末端領域には30〜50ntのpolyA配列が存在した。最も高含量で存在するM2鎖の塩基配列解析の結果、M2鎖にはRdRpは存在せず、その複製はL鎖に依存することが示唆された。(共同研究内容)

*鳥取大農


日本植物病理学会平成19年度大会(2007年3月、宇都宮市)口頭発表