Abstract
(予稿)年3回以上の稲作が可能なベトナム・メコンデルタ地域において、2001年12月、2004年9月と12月に採集した罹病葉からイネいもち病菌を分離し、そのうち107菌株について、国際判別品種を用いて病原性レースを調査した。その結果、イネいもち病菌のレースは一様ではなく、同じ地域にもおいても、異なるレースが混在し、さらに同じ苗から分離した菌株でも異なるレースの菌株が混在することもあった。しかし、抵抗性遺伝子Pi-ztは比較的安定した抵抗性を保持していた。同時に、交配型をmultiplex PCR法によって決定したところ、ほとんどの菌株はMAT1 - 1 であったが、いくつかの省では稀にMAT1 - 2も共存していた。このことは潜在的に自然交配による遺伝的レース変異も示唆されたが、高い稔性をもつ標準菌株との対峙培養ではいずれの菌株も子のう殻、子のう胞子を形成しなかった。
日本植物病理学会平成18年度大会(2006年6月、札幌市)口頭発表