Abstract
2002 年 12 月に引き続き, 2004 年 3 月, チリ共和国北部地域にてトマト属野生種 ( Lycopersicon pervanum, L. chilens ) の採集を行った. これら植物体の果実内部, 果実外部, 茎外部, 茎内部, 葉, 根から計 312 株の糸状菌を分離し, その内訳はFusarium 属菌 153 株, Alternalia 属菌 104 株, Aspergillus 属菌 14 株, Cladosporium 属菌 5 株, Mucor 属菌 1 株, Rhizopus属菌6 株, Penicillium 属菌 8 株, Trichoderma 属菌 3 株, Ulocladium 属菌10 株であった. Fusarium 属菌については種を同定し, F. oxysporum 48菌株のうち 23 菌株について, rDNA IGS 領域の塩基配列を決定した. これらの塩基配列情報および 2002 年採集植物から分離したF. oxysporum 菌株の塩基配列情報を, F. oxysporum 各分化型株の登録済み塩基配列情報 ( 川部ら, 2005 ) と比較し, 分子系統解析を行った. その結果, トマト属野生種由来の F. oxysporum菌株は概ねF. oxysporum f. sp. lycopersici ( FOL ) 株によって構成されるクラスターの近傍に位置し、他分化型菌株よりも FOL に近縁であることが示唆された.
*食品分析センター
**農環研
***鳥取大農
日本植物病理学会平成17年度大会(2005年3月30日、静岡市)口頭発表