Abstract
スイカつる割病菌F. oxysuprum f. sp. niveum(FON)は根部から茎の維管束,果柄を経由して,果実さらには種子に進展するのが一般的な種子伝染経路とされている(常谷ら,1934)が,未詳な部分が多い.そこで緑色蛍光タンパク質遺伝子(egfp)を導入したFON(FON-GFP)を用いて,種子伝染経路の解析を試みた.スイカ(品種:マダーボール)根部にFON-GFP胞子(bud cell)懸濁液を接種したが,茎の維管束を経て果実まで進展した例は観察されなかった.授粉約20日後の果柄へ胞子懸濁液を注射接種すると,低率ながらFON-GFPが果実内に進展し,果肉に蔓延した.幼果実に接種した場合には高率で果実に侵入し,果肉に蔓延した.果肉に蔓延したFON-GFPは種子まで移行し,種子の外種皮外側及び内側,子葉を覆う内種皮に存在した.種子内部へは発芽口を経て進展したと考えられた.種子消毒試験には大量の汚染種子を要するため,FON-GFP胞子懸濁液に2日間浸すことによって人工汚染種子を調製し,これを用いて非病原性微生物,酸,温湯等の種子消毒効果を検討したところ、温酢酸(1%, 40 C)処理によって発芽率の向上、立枯率の低下が認められた.
*みかど育種農場
日本植物病理学会平成17年度大会(2005年3月30日、静岡市)口頭発表