Abstract
矮性トマト品種"マイクロトム"(Lycopersicon esculentum cultivar Micro-Tom)は、ナス科作物のモデル植物として注目されている。現在トマトの全ゲノム国際プロジェクトも進行中であり、病原体−宿主相互作用研究におけるマイクロトムの利用が考えられる。本研究では、糸状菌、細菌、ウイルスを含む栽培トマト病原体16種類に対するマイクロトムの応答を解析した。その結果、マイクロトムはAthelia rolfsii, Botryotinia fuckeliana, Oidium sp., Phytophthora infestans, Sclerotinia sclerotiorum, Ralstonia solanacearum, Agrobacterium tumefaciens, Tomato mosaic virus, Tomato aspermy virusおよびCucumber mosaic virusに対して罹病性を示し、栽培トマト品種と同様の病徴を呈するものも認められた。一方、Alternaria alternata, Corynespora cassiicola, Fusarium oxysporum, Pseudomonas syringae pv. tomato, P. s. pv. tabaci および P. s. pv. glycineaに対しては抵抗性であった。よって、マイクロトムと16病原体の組合せは、罹病性と抵抗性の分子機構研究において優れたモデルシステムになるものと考えられた。
1東大総合文化, 2高知大農, 3高知大遺伝子, 4岡山大農, 5鳥取大農, 6北大院農, 7農環研, 8かずさDNA研, 9東北大院農
日本植物病理学会平成17年度大会(2005年3月29日、静岡市)口頭発表