Abstract
生物は一般的に有性生殖(sexual reproduction)によって遺伝的多様性を維持してきたと考えられており、植物病原菌の病原性や薬剤抵抗性などの獲得、進化にも有性生殖が関与してきたと考えられる。しかし、重要植物病原糸状菌の中にはFusarium oxysporumのように交配不全性(交配しないあるいは交配が未だに観察されていない)のものが数多く存在する。そこで本研究では、F. oxysporumの交配不全性の解明の一環として、近縁種で交配能を持つサトウキビしょう頭腐敗病菌Gibberella fujikuroi mating population B(不完全世代名:F. sacchari)の交配応答シグナル伝達経路を解析している.今回は本菌においても機能していると想定されるNeurospora crassaフェロモンレセプター(PRE1, PRE2)ホモログ遺伝子(pre1、pre2)をG. fujikuroiとF. oxysporumから単離した.両種のPRE1、PRE2はアミノ酸レベルで高い相同性を示した.また,それらの機能解析のためにG. fujikuroiにおいて二回相同組換えによってそれぞれの破壊株を作出した.
第7回糸状菌分子生物学コンファレンス(2007年11月15日、東京都文京区)口頭発表