Gibberella fujikuroi子嚢胞子における形質の分離と培養上清による子嚢殻形成誘導
Segregation of phenotypes in ascospores of Gibberella fujikuroi and induction of barren perithecia formation by culture supernatant
富樫加奈寺岡 徹有江 力
Kana TogashiTohru TeraokaTsutomu Arie

Abstract

サトウキビしょう頭腐敗病菌Gibberella fujikuroi mating population B(anamorph : Fusarium sacchari)は交配型(mating type)の異なる(MAT1-1,MAT1-2)菌株間で交配を行い、完全世代を形成するheterothallicな子嚢菌である。G. fujikuroi FGSC 7610株(MAT1-2,雌性不稔)およびFGSC 7611株(MAT1-1,両性稔性)にEGFP発現カセットとハイグロマイシンB耐性カセットを同時に導入して得られた形質転換体と野生株間とで交配して形成された子嚢胞子を単胞子分離後、3形質(GFP/ハイグロマイシン耐性/交配型)について遺伝的解析を行ったところ、野生型FGSC 7610株を雄側、形質転換体FGSC 7611株を雌側として交配すると、ほぼ1:1に各形質が分離したが、形質転換体FGSC 7610株を雄側、野生型FGSC 7611株を雌側にすると、各形質が必ずしも理論通りに分離しなかった(2004年度報告)。再度、その分離比を精査するとともに、背景となる交配挙動について考察した。また、通常の交配時に雄として用いる雄株胞子懸濁液に代えて、雄株の培養上清(濾過培養液)を処理した場合にも子嚢殻形成が誘導された。さらに、本菌の近縁種であるFusarium oxysporum(不完全性)の胞子懸濁液を処理した場合にも、交配型の異なる菌株同士の組合せ間においてのみ子嚢殻形成が誘導された。


第5回糸状菌分子生物学コンファレンス(2005年11月8日、文京区)ポスター発表