Abstract

サトウキビしょう頭腐敗病菌Gibberella fujikuroi mating population B(anamorph : Fusarium sacchari)は交配型（mating type）の異なる(MAT1-1，MAT1-2)菌株間で交配を行い、完全世代を形成するheterothallicな子嚢菌である。子嚢菌類では栄 養体の核相が単相であることが多く、多様性維持のための遺伝子交換は主に、有性生殖に伴う異なる株同志の細胞質融合、核融合、減数分裂の過程で行われ る。本研究ではG. fujikuroi FGSC 7610株(MAT1-2，雌性不稔)およびFGSC 7611株(MAT1-1，両性稔性)にEGFP発現カセットとハイグロマイシンB耐性カセットを同時に導入し、得られた形質転換体を交配して形成され る子嚢胞子の形質（GFP/ハイグロマイシン耐性/交配型）について遺伝的解析を行った。FGSC 7610株が雌性不稔であるので、交配には常にFGSC 7610株を雄株、FGSC 7611株を雌株として用い、野生型の株と形質転換株を組合せて交配させ、次世代である子嚢胞子を単胞子分離し、3形質の分離比を調査した。野生型 FGSC 7610株を雄側・形質転換体FGSC 7611株を雌側として用いた組み合わせにおいては形質がほぼ1：1に分離したが、形質転換体FGSC 7610株を雄側・野生型FGSC 7611株を雌側に用いた組み合わせにおいては1：1に分離する場合と雄側の形質が次世代に理論通りに分離しない場合があった。