イネいもち病菌の感染過程で特異的に発現する遺伝子B19,B48,B59
Novel genes B19, B48 and B59 specifically expressed during infection with rice blast fungus
齋藤憲一郎・石井ふみ・金森正樹・有江 力・鎌倉高志*・寺岡 徹
Ken-ichiro Saitoh,Fumi Ishii, Masaki Kanamori, Tsutomu Arie, Takashi Kamakura*, Tohru Teraoka

Abstract

イネいもち病菌は付着器と呼ばれる特異的な器官を用いて植物体へ侵入する植物病原菌であり,ほぼ全ゲノム配列が決定されている。本菌の付着器形成,侵入および侵入菌糸成長を含む感染過程には,いくつかの細胞内情報伝達系と新規膜タンパク質等の関与が示唆されているが,その全容は明らかとなっていない。我々はこの時期に特異的に発現する遺伝子群を同定し,その全容を解析する目的で,付着器形成時に高発現しているdifferential cDNAライブラリーを既に構築し,その中から付着器形成誘導に関与する新規遺伝子CBP1を単離している。今回,本ライブラリーから新たに発芽管で特異的な発現を示すB48,B59と,付着器形成条件時に発現するB19を選抜した。いずれの遺伝子も推定ORFのコードするタンパク質はいもち病菌ゲノム解析による推定タンパク質とほぼ一致した。また各遺伝子の予想産物は複数の糸状菌推定タンパク質と相同性を示し,既知ドメイン様の配列を有していたが,全体的な相同性を示す既知タンパク質は見いだせなかった。これら新規遺伝子の機能を推察するため,それぞれの遺伝子破壊株作出を試みた。作出に成功したB19, B48各遺伝子破壊株は,各種培地上での成長や分生胞子の形成頻度,分生胞子と付着器の形状等に異常を示さなかったが,付着器形成頻度およびイネへの侵入頻度と侵入菌糸進展度の低下を示した。

*東京理科大学


第4回糸状菌分子生物学コンファレンス(2004年11月4−5日、仙台市)ポスター発表