チリ共和国で採取した野生種および栽培種トマト属植物から分離された糸状菌
Fungi isolated from wild and cultivated Lycipersicon spp. in Republic of Chile
石川暢子・川部眞登・寺岡 徹・有江 力
Ishikawa, N., Kawabe, M., Teraoka, T. and Arie, T.

Abstract

トマト属植物(Lycopersicon spp.)の原産地は、チリ共和国北部を含む、南アメリカのアンデス地域であると考えられている。2002年12月、チリ共和国中央部(地域」, Aconcagua)および北部(地域, Tarapaca)の圃場から栽培種(L. esculentum)、地域Iの低地(標高1000 m以下)に自生する野生種(L. peruvianum)、高地(2000〜3500 m)に自生する野生種(L. chilense)を採取した。これらのトマト属植物の果実、茎外部、茎内部、葉から、PDA培地および駒田培地を用いて、計249株の糸状菌を分離した。これまでに、その一部を、形態およびrDNA ITSおよびIGS領域の塩基配列情報に基づいて、Fusarium spp.、Rhizopus spp.、Cladosporium spp.、Trichoderma spp.、Alternaria spp.、Ulocladium spp.、Geotrichum spp.、Phoma spp.と同定した。F. oxysporum と同定した16株について、rDNA IGS領域(約600 bp)の塩基配列を決定し、既に登録済み(川部ら, 2003)のF. oxysporum菌株の塩基配列情報と比較し、分子系統解析を行った。その結果、野生種L. pervianum由来のF. oxysporum分離株が、F. oxysporumの中でも、トマト萎凋病菌F. oxysporum f. sp. lycopersiciと近縁にあることが示唆された。


日本菌学会第48回大会(2004年5月、長崎県長与町)口頭発表